16-1.新たなメンバーと罰
お待たせ致しましたー
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万屋の事務所に帰った晁斗達だが、ただいま晁斗と空呀だけは正座を余儀なくされていた。
向かい合っているのは、前所長であり祖父の克己ではなく。
女性陣二人、つまりは咲乃と菜幸にだ。
「あ〜さ〜くぅん?」
「せ〜ん〜ぱ〜い〜?」
「お、おう」
呼ばれたので返答したのだが、その態度がまずかったのか。二人は般若の如く形相となり、晁斗や人型の空呀に不満をぶちまけるのだった。
「何かやらかすとは思ってはいたけど!?」
「漣ちゃんが何度も気絶するくらい能力をフル活用させるだなんて! 何してるんすか!?」
「い、一応止めたぞ?」
「けど! 土地神の次代を眷属化させるだなんて、どーゆーわけぇ?」
「まあまあ、咲乃。晁斗達も反省してるんだし。少し落ち着きなさい?」
「けど、おじーちゃん!」
助け舟を出してくれたまではわからないが、克己が軽く手を叩いて咲乃達の間に入ってきた。ただし、視線は晁斗達の方ではなく、再び子犬型に変化して漣に抱かれている次代狗神の方だった。
「ふむ。守護無しとわかった上で、漣ちゃんと契約したのはある意味運がいいかもしれないね?」
【ぬ? 汝が前所長と言うのか?】
「ええ、そうですよ。と言っても、孫に代を継いだのでそうしょっちゅうは口出し出来ませんが。貴方様は誠に漣ちゃんの眷属になるのを厭わないのですか?」
【無論。我は漣が守護精を得るまでの繋ぎでしかないが】
「おや。そのご様子ですと、漣ちゃんの守護無しは先天性ではないと?」
【うむ】
それは電車内では一度も口にしなかったが、ひょっとしたら説明を何回もする手間を省くためだったのかもしれない。
漣も少し驚いていたが、克己が考え込む様子におろおろしていた。
「あ、あの」
「ああ。漣ちゃん、そんなにも慌てることはないよ? 次代様が契約してくれたのは成り行きもあるだろうけど。君を気に入った証拠だ。それなら、私も意見はしないよ?」
その言葉に、漣もだが晁斗もほっとは出来た。
もともと次代を連れて帰る予定は組み込まれていなかったし、受け入れてくれるのなら安堵以外何もない。
とは言え、克己の言い分を守れなかった晁斗や空呀には何かしら罰を与えるのだろう。
くるりと、振り返ってきた祖父の顔は悪戯っ子のようになっていた。
「晁斗と空呀には、明日は店に出ずに手芸品のストックを十個以上作ること」
「「うぇ!?」」
「おじいちゃん、そんな軽くていいの!?」
「まあまあ。漣ちゃんが仕事を覚える理由もある。明日はここで、四人とも缶詰め」
「僕もですか?」
「次代様がいらっしゃるとは言え、完全回復ではないからね?」
「……はい」
罰は決まったので、次は名付けの儀式と行きたいところだったが。
まだまだ受験生並みに勉強している漣の知識だとすぐに思い浮かばない。
なので、ゆっくりと決めるまでは万屋メンバーだけ『次代様』と呼ぶことになり。漣が喫茶側に出る時は極力顕現せずに、普通の守護精のように身体に宿ることになったのだった。
「頑張って、名前決めるからね?」
【うむ。楽しみにしている】
それと、漣の希望でもあった燈特製のバーガーセットについてだったが。
本人に聞くと、バンズさえあれば可能だと言う。さすがにパンだけは本職じゃないので作れないらしいが、そのバンズも伝があるらしく。わざわざ仕入れてくれるそうだ。
「漣ちゃんご希望の、組み合わせは何かな?」
「あの……あの! アボカドとチーズたくさんがいいです!」
「アボカドは時期じゃないけど……今は輸入物もあるしね? いいよ、とびきり美味しいのを作ってあげるね?」
「わーい!」
年頃だが、メンバーの中で最年少の笑顔はとびきり可愛かったのだった。
晁斗の方は、明日は久しぶりに缶詰となれば準備をしようと立ち上がりかけたが。
座り方で対策をしていたはずなのに、盛大に痺れて空呀ともども立ち上がれなかったのだった。
神社の時とは違い、小一時間も正座させられたいのだから無理もない。漣と次代以外には盛大に笑われてしまったのだった。
次回は金曜日〜




