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15-4.簡易的祝賀会

お待たせ致しましたー

 






 *・*・*







 狗神の依頼も終わり、まずは電車の中でささやかな祝賀会を開くことにしたわけだが。



晁斗(あさと)さん……いいんですか?」



 快速線に運良く乗れた晁斗達の目の前には、駅弁当の山の山。(れん)の眷属となった次代狗神のこともあり、多めに買い込んだがおそらく晁斗や空呀(くうが)もいるから食べ切れるだろう。



「万屋に入れる分を差し引いて、漣の祝賀でも前祝いだ。しっかり食って回復しろ」

「けど、こんなに?」

【我も……我も食していいのか?】

「おう。もちろんだ、お前さんの歓迎も兼ねてる」

【!】



 漣に抱えられたままの次代狗神は、今の姿である子犬らしく尻尾を大袈裟に振りながら喜びを体現していた。おそらく、生まれて間もないから人間の食事に興味を持ったのだろう。


 空呀も食べたそうにしていたが、今の獣の姿だと座席に飛び散らす可能性が高いので、久しぶりに人型にさせた。



「よ……っと」



 一回転してから変化した空呀の姿は、背丈は宿主の晁斗には劣るがなかなか高身長の青年に変身した。髪は銀髪に黒のメッシュのような房が所々にあり、顔立ちも悪戯っぽい笑みを浮かべているが悪い印象は受けない。


 向かいに座っていた漣は初めての変化に口を大きく開けてしまった。



「……漣?」

「……ごいです」

「「へ?」」

「すっごいです! 守護精っていろんなことが出来るんですね!」



 どうやら、空呀の変身に驚きと感動をしたのだろう。


 たしかに、普段の食事だとそのままかぶりつくことが多いので変身させてなかったが、今の空呀の変貌ぶりに漣は目を輝かせていた。


 ただ、それに晁斗は一瞬もやっとした気分になったが、すぐに霧散させて弁当をどれにするか聞こうとしたが。



【……我も変化する!】



 と、次代狗神はなぜか空呀に対抗心を抱き、似たようにバック転してから空いてる席に人型で腰掛けた。


 服は晁斗や空呀に似せた冬服だったが、顔立ちは穏やかな風合い。髪は少し長めで白いが、守護精としてでならなんら違和感は持たれないだろう。



【……これで良いか?】

「す……ごい、で……あ、よ! 大きなお兄さんにもなれるんだね!」

【空呀の身なりを真似たまでよ。だが、素手で食事は難しいな】

「僕も……まだお箸苦手」

「そう思って、フォークとスプーン余分にもらってきた」

「ありがとうございます!」



 次代に敬語は寄せと、前もって言われたのを思い出して、わざわざ修正する漣が少し可愛らしく見えたが。


 温めた弁当もいくつかあるので、帰りの最寄り駅に着くまでささやかな祝賀会を開くことになった。


 ちなみに、漣と次代が一番気に入っていたのは牛時雨の弁当だった。



「美味しかったです……!」

【ヒトの食事も富んでいるものだな……?】

「俺はまだ帰っても、(あかり)の飯食えるぜ!」

「お前は食い過ぎ」

「あ、あの……晁斗さん。一個だけ、お願いいいですか?」

「ん?」



 漣から珍しくお願いされるとは思わず、いいぞと晁斗は返した。


 すると、漣は真っ赤な顔でもじもじしながら質問してきた。



「燈さんって……ハンバーガーセットとか、作れるんでしょうか?」

「バーガーセット?」

「その。依頼が終わってから、なんでもいいと言ってくださったので。買うのもいいんですが、燈さんのも食べてみたいんです」

「なるほど……」



 専門学校卒とは言え、燈は卒業後すぐに克己(かつき)の元で修行をしてきたので、多方面に料理が得意なだけだ。


 けれど、せっかくの漣のお願いだ。既製品の材料を一部使うにしても、今回の功労者の願いを叶えないわけにはいかない。



「わかった。兄貴に確認したら教える。どうしても無理だったら、またワクワクバーガーとかでいいか?」

「! はい!」



 記憶喪失とは言え、それ以前はいったいどんな食生活をしてきたのか。


 未だ追求はキリがないが、あの黒ずくめと繋がっていることは、万屋全員に伝えねばと心に決めた晁斗だったのだ。

次回は土曜日〜

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