14-4.さらに堕とされた
本日2話目
*・*・*
次代狗神から、親神である狗神が殺されていないと聞かされ。
漣は次代に、晁斗は空呀に跨って元来た道筋に急いだ。
たとえ殺されていなくとも、一度堕とした神に何もしないわけがない。依頼が失敗しただけで、依頼人を殺すような連中だ。
次代狗神が元通りになることも想定の範囲だと思っているはずだが。あの二人が、親神の抵抗になんらかの術を施してもおかしくはない。
とにかく、先を急ぐことにして晁斗と空呀は次代の飛行に遅れないようについていったのだが。
【母者!?】
空呀の背から振り落とされないように飛行している最中に、次代狗神の方から声が上がった。
何事かと前を見た瞬間、その意味はすぐに知れた。
「お、おい……」
「なんだよ、あれ……!?」
次代狗神よりも、さらに粘着質の高い邪気をまとった妖。
黒ずくめの二人はどこかに行ってしまったのか、姿は見えないが晁斗の脳内信号にはこの状況に太刀打ち出来るかわからないでいた。
「あれ……って、狗神様なんですか……?」
晁斗よりも間近で見ている漣には耐えられないと思ったが、意外と肝が据わっているのか気絶しないで次代の背に乗っていた。
空呀に次代の横に並んでもらうと、ますます親神の異質さが間近に見えた。
「ああ……。お前と最初に癒した時よりやべーな? 次代ん時よりも悪質だ」
「……僕の歌で」
「無茶すんな。今日どんだけ癒し手の能力使ったと思ってんだよ」
「けど、これじゃ……咲乃さん達がいたとしても無理です!」
「わーってるよ。俺や空呀の浄化術使っても、これじゃ……」
昇華させる以外の手立てがないように思われる。だが、それは同時に親神の死を意味する。元のように、この土地を守護する狗神を浄化する依頼に反してしまう。
が、第三者の手により土地神の神格を改竄させられたのだから、それは無理な話だ。
それに、漣も今日癒し手の能力を使ったのだ。二度ならまだしも、おそらく次代を眷属化させるために、魂とのリンクで歌った筈だ。
でなければ、晁斗が手出し出来なかった域まで浄化出来ないわけがない。
そろそろ体力的に限界だろうに、漣はまだ出来ると晁斗に目線で訴えてきた。
【漣よ……すまぬが、母者を助けてはもらえぬか……?】
次代狗神でも無理だと判断したのだろう。
主となった漣の身体に無茶なことはさせられないとわかってはいるだろうが、ここまで親神が堕とされれば己でも対処出来ないと思ったかもしれない。
「! 僕でお役に立てれるのなら!」
「けど、漣。お前、次代を癒すのにも能力使っただろ?」
「大丈夫です。眠くもないですし、お腹も減ってません!」
それに無茶もしてません、ときっぱり言い切るのだから、これは晁斗の方から折れるしかないだろう。
「昼もまだだし、終わったら腹いっぱい食わせてやっからな?」
「! はい!」
そうと決まれば、と漣は邪気を厭わずに次代に少しでも親神の側に寄るべく近づいてもらった。
晁斗と空呀は例の黒ずくめ達が、まだ隠れているのではと警戒していたが出てくる様子はない。
散々に、堕とすだけ堕として放置、とはいったいどう言うつもりなのだろうか。
小さく、浮かぶ雪の羽根
街中へ降るよ降るよ、綿菓子色の雨になって
思い浮かぶ貴方、瞳を閉じて手をのばす
優しいぬくもり、心にまで届くよ
I wish for you.
聞こえてきたのは、漣が最初に晁斗達の前で披露してくれた歌だった。
一度、親神を癒した時も思ったが、回数を重ねるごとに、声量や技術が向上しているような気がした。
それに、心を込めて歌っているためか、生半可な気持ちじゃないのは歌で感じ取れた。
「……あ、あれ?」
歌が終わった時に、何故か漣の焦った声音にそちらを振り返れば。
粘着質な邪気は消えたが、奇怪な紋様が体のあちこちにはしった親神の姿に危機感を覚えた。
すぐに札を投げつけて拘束を試みたが、札は親神に触れた途端に溶けて消えてしまった。
「漣! こっち来い!」
すぐに声をかけて、次代にこちらに飛んできてもらったが。親神らしい、あの妖もどきはいったいなんなのだ。
攻撃はまだしてこずとも、周りの邪気を消しただけなのに、あの姿はいったい。
漣の能力をもってしてでも無理だと判断出来たが、この状況を打破出来るのか晁斗にはわからなかった。
毎日連続投稿はここまで
本日ちょうど最新話公開ですん、次回は17時過ぎ〜




