14-1.さらに追跡
本日2話目
*・*・*
漣は狗神から離れてからも、しばし、狗神の安否を気にしているようだったが。
空呀が地面に近くなった時に、いきなり自分の両頬を手で叩いた。
「僕、頑張ります!」
「おお、その粋だ」
だが、狗神の妨害がどれだけあの黒ずくめの二人を止められるかはわからない。
出来るだけ早く、早いうちに次代狗神を見つけなければいけない。
術は狗神から離れていても発動はしているのだが。たどる為の赤い糸が、複雑な絡み方をして行く手を阻んでしまっていた。
「こりゃ、無闇に進めねーぞ?」
「どうすれば……」
「繋いだ糸を解こうにも実体化してるわけじゃねーし」
地面に降りてからも、どうすれば、と三人で唸るしか出来なかった。
だが、少しして、漣が耳をすませるようにしたら。
「小さいけど……声、聞こえます!」
「またか!」
「お前、癒し手の能力だけじゃねーんだな?」
「晁斗さん、僕にもう一度術をかけてみてください!」
「やってみるか!」
手立てがあるのなら、何もしないわけにはいかない。
依頼としてもだが、あれだけ必死になって土地を守ろうとしている狗神の必死さに心打たれたこともある。
それに、漣の手がかりになるとは言えども、あの黒ずくめの男女にこの土地をめちゃくちゃにさせるつもりはない。
晁斗は一度術を解除してから、新たに術を繰り出した。
「お、一本に繋がったぞ!!」
「これなら……」
そして、漣の顔色がいくらか悪い。おそらく、堕とされた次代狗神の声が聞こえているからだろう。
「……苦しんでます。……すっごく、すっごく」
「……早く行って、俺達で癒してあげようぜ?」
「はい! 絶対!!」
空呀に再び乗った晁斗と漣は、振り落とされないようにしがみつきながら次代狗神の元へと向かう。
糸、というより縄になった赤い目印は、木の間を縫うようにこちらを導いてくれるのだが。いかんせん、距離が長い。
空呀は切羽詰まった状況だから休むことなく走ってくれているが、まだ騎乗に慣れていない漣は酔ったりしていないだろうか。
狗神の背に乗った時も一応平気ではいたのだが。
今は、次代狗神の声を集中して聴いているのか。特に返事もなく前を見ていた。
「……め」
「「へ??」」
「ダメ! 堕ちちゃ、ダメ!!」
「「漣!?」」
急に大声を上げた漣に何が起きたのかよくわからなかったが。
意識を手放したのか、後ろに倒れ込んできたので晁斗は慌てて抱きとめたのだが。漣は気絶してしまったのか、すぐに起きなかった。
「どーした!?」
「漣が……気絶した」
「術は解けてねーぞ!?」
「……仕方ねーが、このまま進むぞ!」
「応!」
この術は失せ物探しの術なので、媒介となる人間が意識を閉しても発動はしているのが救いだった。
であれば、漣が起きれずとも次代狗神の元へはたどり着ける。そして、彼女ほどは出来ずとも、晁斗と空呀の術でも。
と言いたいが、漣や浄化担当の咲乃よりは劣る浄化の術でどこまでいけるか。
とにかく、空呀には進んでもらっていると、彼が縄の終わり辺りで声を上げた。
「おいおいおい!? 何使えば、あんな邪気生み出せるんだ!?」
晁斗の目に映ったのも、信じられない光景だった。
どこが妖で、どこが次代の土地神であるのか。
どす黒い粘着質に強い、目に映る邪念のせいで形が定まっていない。
これが、堕とされた神の状態だと言うのだろうか。
堕ち切った、妖の成れの果てにしか晁斗には思えなかったのだ。
次回は15時〜




