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13-6.狗神の抵抗

お待たせ致しましたー








 *・*・*








 たとえ、己が死しようとも。


 狗神は、先程(れん)に告げた言葉に偽りはないと思っている。


 己が亡き者にされようとも、己を死の淵から救ってくれたあの少女と、共にいた男が次代である己の仔を癒してくれれば、安堵出来るからだ。


 だから、妖に戻った今の狗神でも、目の前の黒ずくめの二人に殺されたとしても。


 もう我が仔に出会えなくなろうとも。


 あの二人が起こす奇跡を阻むのならば、いくらでもこの命は投げ出そう。


 たとえ、神主になったばかりの知己の男に悲しい思いをさせようとも。



「……無駄なことを。己の死を急ぐようなものだぞ」

「僕に一度殺されかけたのに〜、そんなに死にたいんだ〜?」

「おい。親神の核は取るが、殺せとは長も言っていなかったぞ? 何をしているのだ」

「だって〜、抵抗しまくるんだから〜。ムカついて死にかけにさせたの〜」

「……はあ」



 だが、死に急ぐつもりは毛頭ない。


 足止めもどこまで出来るか。


 目が見えているのであれば、狗神の勝機もなくはない。


 ひとまず、炎と、風を利用して倒せるか試みたのだが。



「きゃっはは! バーベキューとかしたら消炭になるだろうけど、僕らには効かないよ〜ん」

「無駄な抵抗は寄せ」



 下落しても、神の名残があるはずの妖でも、力は漣によって癒されたのに。


 最初に男の方へと攻撃した炎の渦も、たやすく刀で薙ぎ払われた。


 いったい、此奴らは何者か。


 次代の狗神まで堕とさせて、この地に厄災を及ぼす意味が。


 狗神には分からなかった。




【何故だ……我もだが、あの仔に何故そこまで執着するのだ!?】

「え〜? 長に頼まれたから〜?」

「勝手に言うな」

「いいじゃない〜? 死ぬだろう相手に」

【なら。主らを殺しても、まだ来ると言うのか?】

「僕らを殺す〜? きゃはは! おっかしい!」

「笑い過ぎだ。同意見ではあるが」

【くっ……!】



 正直言って、こちらが遊ばれてしまっている状態だが。主に、女の方が楽しんでいるのだろう。


 一度殺されかけたとは言え、この女は強い。


 ヒトが宙に浮く呪法なぞ、過去にあったとしても随分と彼方の時空だった。


 妖とも違う、己の魂の片鱗を象った守護精と呼ばれている存在のせいか。


 だが、この二人はそれらを顕現させてもいない。


 同化してたとしても、ヒトの身体が保つはずもない。



「ワンちゃん、うっるさいから……もう殺しちゃえ」



 静か。


 実に、静かに告げられた女の言葉のあと。


 狗神の意識は、声音の静かさとともに、閉じられてしまった。

次回は12時〜

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