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29-4.後悔したくない

お待たせ致しましたー






 *・*・*










 ここは、何処(どこ)だ。


 紗々(さしゃ)は、何をしているのだろうか。


 あの女が、由那(ゆな)が使ってしまったのだ。禁呪を。


 すぐ止めさせようとしたのだが、瘴気によって弾かれてしまい、壁に激突させられて気を失った。


 そこまでは、なんとなく覚えている。


 ならば、ここは深層心理の中か。


 紗々は気を失ってしまったから、目覚めれずに夢の奥底にいるのだろう。


 酷く、虚しくなってきた。



「……あいつのために、今まで動いてきたが」



 その由那が、自らの肉体や魂を犠牲にしてまで、双子の妹を憎んでいたのは予想外だった。


 嫌っていたのは知っていたが、そこまでとは紗々も知らなかったので。


 今外ではどうなっているかわからないが、止めなくては。


 由那を。


 由那を。


 由那を。


 止めなくては、と思っているのに肝心な時に何も出来ない。


 何が幹部のひとりだ。


 何が、術師の誉だ。


 助けたいと思う相手に何も出来ないだなんて意味がない。



『……助けよう、紗々』



 拳を強く握っていたら、由那ではなく花蓮(かれん)が紗々の前に現れた。魂を取り込んだのは見たが、記憶も何もかも取り戻したのか。


 夢を通じて、紗々に語りかけてきた意味はわからないが。



「……花蓮」

『お姉さんを一緒に、助けよう?』

「……だが、俺は」

『今は、万屋も裏も関係ないよ? お姉さんから屍鬼(しき)を引き剥がさなきゃ……誰も何も助からない』

「……そうだが」



 甲本(こうもと)を殺した。


 狗神(いぬがみ)を堕としかけた。


 ケサランパサランも堕としかけた。


 花蓮には迷惑をかけたばかりなのに、何故手を差し伸べてくれるのだろうか。



『時間がないよ! 由那お姉さんを助けようよ、紗々!!』

「……俺で、いいのか?」

『!……ずっと、私じゃなくて紗々がお姉さんの隣にいたんでしょ?』

「……ああ」



 人として外道の路を歩んではきたが。


 それらを除けば、由那の隣にいたのは紗々だ。


 笑っていた顔もたくさん見てきた。


 その想いを形にしていいかはわからないが。


 今は、彼女を助けたい。


 紗々は自分で自分の胸を強く叩いた。


 途端、苦笑いしている花蓮の姿が掻き消えて。自分が龍のような守護精の背に乗っているのがわかった。



「!? 目が覚めましたか……」



 眼鏡の刑事。


 本来ならここで対峙するだろうが、今はそんな場合ではない。


 紗々は体を起こしてから、彼に頭を下げた。



「……あいつを止める手伝いをさせてくれ!」



 たとえ、この事態が終わって、もう二度と日の目に立てなくなったとしても。


 紗々は、後悔したくなかった。

次回は日曜日〜

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