29-4.後悔したくない
お待たせ致しましたー
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ここは、何処だ。
紗々は、何をしているのだろうか。
あの女が、由那が使ってしまったのだ。禁呪を。
すぐ止めさせようとしたのだが、瘴気によって弾かれてしまい、壁に激突させられて気を失った。
そこまでは、なんとなく覚えている。
ならば、ここは深層心理の中か。
紗々は気を失ってしまったから、目覚めれずに夢の奥底にいるのだろう。
酷く、虚しくなってきた。
「……あいつのために、今まで動いてきたが」
その由那が、自らの肉体や魂を犠牲にしてまで、双子の妹を憎んでいたのは予想外だった。
嫌っていたのは知っていたが、そこまでとは紗々も知らなかったので。
今外ではどうなっているかわからないが、止めなくては。
由那を。
由那を。
由那を。
止めなくては、と思っているのに肝心な時に何も出来ない。
何が幹部のひとりだ。
何が、術師の誉だ。
助けたいと思う相手に何も出来ないだなんて意味がない。
『……助けよう、紗々』
拳を強く握っていたら、由那ではなく花蓮が紗々の前に現れた。魂を取り込んだのは見たが、記憶も何もかも取り戻したのか。
夢を通じて、紗々に語りかけてきた意味はわからないが。
「……花蓮」
『お姉さんを一緒に、助けよう?』
「……だが、俺は」
『今は、万屋も裏も関係ないよ? お姉さんから屍鬼を引き剥がさなきゃ……誰も何も助からない』
「……そうだが」
甲本を殺した。
狗神を堕としかけた。
ケサランパサランも堕としかけた。
花蓮には迷惑をかけたばかりなのに、何故手を差し伸べてくれるのだろうか。
『時間がないよ! 由那お姉さんを助けようよ、紗々!!』
「……俺で、いいのか?」
『!……ずっと、私じゃなくて紗々がお姉さんの隣にいたんでしょ?』
「……ああ」
人として外道の路を歩んではきたが。
それらを除けば、由那の隣にいたのは紗々だ。
笑っていた顔もたくさん見てきた。
その想いを形にしていいかはわからないが。
今は、彼女を助けたい。
紗々は自分で自分の胸を強く叩いた。
途端、苦笑いしている花蓮の姿が掻き消えて。自分が龍のような守護精の背に乗っているのがわかった。
「!? 目が覚めましたか……」
眼鏡の刑事。
本来ならここで対峙するだろうが、今はそんな場合ではない。
紗々は体を起こしてから、彼に頭を下げた。
「……あいつを止める手伝いをさせてくれ!」
たとえ、この事態が終わって、もう二度と日の目に立てなくなったとしても。
紗々は、後悔したくなかった。
次回は日曜日〜




