異世界生活ってこんな感じなの⁈
目が覚めるとそこは見知らぬ場所だった。まさか本当に転移しちゃったのか? 夢だよな? そう思いながら周りを見渡す。
ここは部屋の中だ。それもたぶん女の子のだ。壁は淡いピンクみたいな色で可愛らしい置物などもある。現実では女の子の部屋に入るなんてありえなかったのに。異世界最高だぜ!
「やっと起きたか、調子はどうだい?」
そう言いながらこっちに向かってくるのはおっさんだ。この部屋の子の父親かなんかだろう。それより聞きたいことが沢山ある。
「あの、僕は一体どういう状況におかれているのですか?」
「俺の娘が召喚したんだよ。遊んでたら友達とはぐれたから探してほしいってさ。娘も召喚が初めてだったからちょっとミスっちまったっぽいなぁ。目覚めるまでこんなに時間がかかったのは初めてだ」
おっさんは笑いながら話しているが僕は大丈夫なのか? というか色々疑問しかないのだが……
「やっと起きたのね! ……ってお父さんまだこんな部屋だったの? さすがに引くわ」
ハーフエルフっぽい見た目の可愛い女の子が入ってきた。これぞ異世界。やっとメインヒロインぽい子が来た。僕が召喚されたときに聞こえた声と同じということは僕を召喚したのはあの子ということか。
それよりあの子の話を聞く限り、ここってあのおっさんの部屋なの⁈
「まぁいいじゃないか。それよりシレーナがこの子の面倒を見てやれ。お前が勝手に召喚したんだから自分で頑張れよ」
勝手に召喚したって……そういえば僕が召喚された理由って人探しじゃん。魔王討伐とかじゃないの? どうなってるのこの世界。まじでモチベーションだだ下がり。
あのおっさんどっか行っちゃったし、この子はなんかおっさんに文句言ってるし、この先の異世界生活めちゃくちゃ不安なんだけど。
「初めまして。私はシレーナ。さっきまでいたのが私のお父さんのオンブレよ。君の名前は?」
シレーナって言うのか。普通にしてれば美人なんだけどさっきの感じを見る限りクセがありそうなんだよな。少し見ただけでわかっちゃうのってやばいよな。
「僕は秀。よろしく」
「よろしくね、シュウ。それではさっそく私の人探しを手伝ってもらうわよ」
本当に人探しするんだ。異世界に来たんだから魔王討伐とかしたいのに。なんで人探しなんだよ。それだけのために僕を召喚するなよ。