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鉄騎兵戦争録  作者: 機械河童
9/9

最終回 それぞれの正義

戦争は終わり、時代は新たな時代へ移ってゆく


第九章 情報部解体

 「これより議会を開始する。」

この日、エスナルフでは情報部が解体されることになっている。理由は「利敵行為」いくら何でも無くすことはないという意見も出た。しかし、仕方がないのだ。

「情報部は議会に無断で無意味かつ卑怯な工作を行い、結果的に敵を利する事になった。それは大きな罪である。情報部の勝手な行動により、国家全体が野蛮国家の矛先に立たせられることになったのだ。何か言いたいことは?」

「・・・無い」

「では、ここに情報部は解体され、情報部長は公職追放とする。」

「はっ」

そしてこの晩、情報部長は毒をあおった。」

「奴は死んだか。」

「ええ。」

「惜しい人物を失くした。」

「はい。ですが、公的な議会で無断に行動したことは罪に問われて当然です。公私混同なさらぬよう。公と私、それぞれの立場で、人として、公人としての正義は違うのです。」


第十章 アイゼンリッター出撃命令

 「これより御前会議を始める。」

「ではまず私から。現在軍部と外交筋両面でエスナルフとの協調路線に持って行く事としている。外相殺害の現場から、奴らの機密文書を入手した。これを公開しないことを条件にして講和すれば良いと思われます。」

「誰か意義のあるものは。」

「無し。」

「では、帝国は講和を目的とする旨を世界に発信せよ。」

「了解。」

~一週間後~

「やけに外が騒がしいな。」

「何なのでしょうかね。」

「緊急報告です!クーデターです。講和に反対する連中が武装して包囲しております!そしてその中には、ツィーヴィスの傭兵共が!」

「何だと!」

「だから傭兵は当てにならんのだ。」

「至急、ヴォルフ少佐を呼んでくれ。」

「はっ」

「ヴォルフ少佐、到着しました。」

「ではヴォルフ少佐、貴官に話がある。クーデターを鎮圧してくれ。」

「はっ、、、確かクーデターの参加者にはミヒャエルなども居たような、、」

「ああ。そうだ。貴官には辛いだろうが、、」

「いいえ。命令とあらば。」

「そうか。では命令する。アイゼンリッターは総力を上げてクーデターを鎮圧せよ。」

「はっ」


最終章 一つの時代の終わり

 「者共!アイゼンリッターに出撃命令が出た!行くぞォォォォ!」

「了解!」

地上戦闘機がディーゼルの轟音を上げ出撃してゆく。

「目標!宮殿周辺を包囲しているクーデター軍!」

その頃クーデター軍も、アイゼンリッターの動きに気づいた。

「来たか、ヴォルフ。」

「ミシェル大尉、ヴォルフ少佐は貴方の友人です。迂闊に攻撃出来ないのでは?」

「いいや、奴はやる。真面目な男だ。」

「クソ真面目ってやつですね。」

「・・・」

「クーデター軍に警告する!今すぐ軍を引け!まだ間に合う。今なら無罪だ。さらに貴様らがクーデターを続けた場合、貴様らの家族は周囲から軽蔑の目を浴びせられることになるぞ!」

「我々は何も聞かない。弱腰の帝国の言うことなど聞くものか!」

「馬鹿野郎!この傭兵ミシェル・アレクサンドルが一度は忠誠を誓った帝国をばかにすることは許さん!」

「・・・ちっ。」

「さぁ行くぞ。クーデターを起こしておいて、今更すみませんでは済まない。」

「うをぉぉぉぉぉ!」

 ここに、かつて共に戦った者同士での、無意味で不毛な戦いが繰り広げられた。だが、戦車、地上戦闘機などの重火器を揃える正規軍に対し、寄せ集めのクーデター軍が勝てるはずは無かった。

「隠れて周り込め!正規軍と正面からやっても確実に負ける!」

「さすがミヒャエル。いや、ミシェル。見事だ。だが今は敵だ。アイゼンリッター!中央突破し、とにかくかき乱せ!統制を崩してしまえばただの雑魚だ!」

 三時間もすると、クーデター軍の敗色は濃厚となった。その戦いの只中、対峙する二台の地上戦闘機が居た。

「ミシェル。何故だ。お前は軍でも良い待遇を受けていただろう!」

「そんなこと言ったって、俺らは所詮傭兵なんだ。戦いが終われば捨てられる。そんなのは嫌だ!」

二人の無線は、少年の喧嘩の様であった。

「今ならまだ間に合う。本当だ!」

「嘘だ!」

その時、どこからともなく砲弾が飛んできた。そして、ミシェルに直撃した。

「ミシェル大尉!」

「もう何も言うな俺はこうなる運命だったのだ。確かに死にたくはない。だが、最後にヴォルフに看取ってもらえて嬉しい。欲を言えば、一騎打ちをしてからが良かったのだがなぁ。なぁヴォルフよ、お前は本当に真面目なやつだが、不思議と一緒にいると楽しいんだよなぁ。だがそれももう終わる。さらばだ。また天上で会おう。」

ミシェル・アレクサンドル戦死。そしてこの事件から数年も経たぬうちに、ヴォルフは訓練中の事故が原因でパイロットを引退。その後は教官などをしながら、96歳で安らかに眠りについた。


ランドルフ・アーベル

ナムレグ皇帝

ローデリヒ・フォン・ベルガー

エスナルフ外交官

情報部長

ミシェル・アレクサンドル

ヴォルフ・ファルケンハイン

そして多くの戦いで戦死した無名の兵士。皆それぞれの信じる正義のために戦い、生き、死んでいった。


fin

今回までご視聴ありがとうございました!

少々打ち切り気味になってしまいましたが、楽しんでいただけたでしょうか?

今までありがとうございました!

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