鉄騎兵~アイゼンリッター~
ついにドゥナレシュツェウド帝国においても地上戦闘機が製造される。
そしてナムレグ帝国は敗北に苦しんでいるところに更なる展開が。
第四章 アイゼンリッター
先の戦いの後、ドゥナレシュツェウドでは皇帝も参加する緊急会議を開いた。話の主題は、「鉄騎兵計画」である。新たに軍部から提案されたこの計画は、鹵獲した地上戦闘機を参考にし、ドゥナレシュツェウド製の"最新鋭"地上戦闘機を作る計画である。
「機体を作るのはかまわない。しかし、誰が操縦するのだ?訓練を疎かにしては、奴らの二の舞を演じるだけだ。だからと言って長々と訓練をしては、その間に敵が新機体を開発するか、訓練された敵兵士が我が方に攻め入ってくるだけであります。」
「それに関しては考えている。ツィーヴィス連邦の傭兵にパイロットを依頼するのだ。」
「傭兵が信用できるのか?」
「傭兵なんて金さえ払っておけば繋ぎ止められる。」
「で、機体の方の計画案は?」
「できております。計画名「アイゼンリッター」は3つの機体、軽戦闘機、重戦闘機、重攻撃機の開発をしております。」
「詳しく説明してくれ。」
「はっ。軽戦闘機は20mm機関砲2門搭載、、装甲は全体的に薄く、ディーゼルエンジンで駆動し、時速120km程で走行します。重戦闘機は30mm機関砲2門及び両腕のウェポンラックにガンポッド又はミサイルを搭載可能です。エンジンは過給器付き空冷二重星型14気筒ガソリンエンジンを搭載し、70~85kmで走行します。装甲は小火器及び一部の対戦車兵器を弾けますがそれでも機甲師団との正面対決は避けたほうが良いことに変わりありません。重攻撃機は基本は重戦闘機と同じですが肩に88mm対戦車砲又は105mm榴弾砲を搭載しています。また、装甲も大幅に強化されており、その代償として速度が45km前後まで落ちております。以上が計画案です。」
「よし。誰か異存のあるものは、、、無いな。」
こうしてアイゼンリッター計画は実行に移されることとなった。
第五章 革命また革命
敗北したナムレグ帝国は現在、国民の批判と憎悪にさらされていた。国民が貧困で困っている時に無益な戦をしたと言えば国民が怒るのも当然である。士気をあげようと立てた作戦が裏目に出たのだ。国民の中にはドゥナレシュツェウド帝国の時の方が良かったという者も数多く居た。
「国民の金で無駄な戦争をする政府を打倒すべし」という標語が街頭に掲げられるようになったのはこの頃である。
「革命尚書、どうやら我々の危惧していたことが起こりそうだ。18日に国民の決起集会が行われる。」
「このままでは恐らく国は滅びますな。」
「何か防ぐ手立てはあるかね。」
「あります。一つだけ。」
「どのような方法だ。」
「国民に金を分配するのです。いわゆる社会主義政策です。もはやこれしか方法はないと思われますが。」
「だめだ。それでは皇室の権威はどうなるのだ。なぜ我々はドゥナレシュツェウドから離脱したのだ。何も意味が無くなるではないか!」
「落ち着いて下さい。そもそもこのような状況を作ったのは我々です。それを我々が直すのが義務であると思いますが。」
「うるさい!このわしに指図をするな!」
「やれ。」
ダーン! ダーン!
銃声が響いた。煙が治まるとナムレグ皇帝が立っていた場所に生者はおらず、二度と起きることのない物体が地面に突っ伏しているのだった。
「諸君。これより革命尚書たるこの私が皇帝となる。そのことを国民に伝えるように。それと、国民に金を配るという事も忘れずに言っておけ。」
後にこれはナムレグ革命といわれる様になる。ナムレグがドゥナレシュツェウドから独立したドゥナレシュツェウド革命から10年。再び革命が起きたのであった。それは、戦乱の更なる拡大を生むこととなるのだが、そのことを彼らが知る由もない。
次回、改革されるナムレグ、進化するドゥナレシュツェウド、影響を増す他国。壮大な歴史劇に新たな展開が訪れる。
前線がどちらへ動くか、それはまだ誰も知らない。