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妹が可愛いすぎて困ってます。  作者: 蒼龍 葵
弘樹高校3年生
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受験勉強その2


俺は外崎との約束を果たすべく、今日は久しぶりに図書室に居る時間を短くして早めに帰宅した。あまり遅くなると今度は雪の方が寝てしまうのだ。

しかも今日は何ともの凄くナイスなタイミングの良いことに、雪の靴と共にジェシカちゃんのらしい靴が並んで置いてあった。これはわざわざ彼女を呼ばなくても済む!


「ただいま」


リビングに入ると2人は並んでノートを開いていた。ジェシカちゃんが雪に何かを教えているようだった。


「あっ! ひろちゃんおかえり。あのね、雪英語教えてもらっていたの!」


「ハイ、ヒロキ。お久しぶりデス」


そうか、ジェシカちゃんは元々ハーフさんだからどっちの言葉もペラペラ。本家から学んだ方が英語力というのは上がるだろう。

日本の試験は単語ばかりに着目するからダメだって何かが言っていた気がする。確かすごく簡単な中学生レベルの単語少しだけで他は何とかなるんだっけ。

丁度雪も英語が必須の年になってきたからジェシカちゃんの存在はとても有難い。


「ジェシカちゃんが教えてくれるなら本当に助かるよ、雪は英語苦手だからさ」


「ハイ、それじゃなくて、今日はジェシカお詫びに来ました。温泉旅行でヒロキにたくさん、いっぱい迷惑かけました。とてもゴメンなさいです。ヒロキ大切な受験。ジェシカのせいでダメになったら困るね」


多分先日撮られた写真の事を言っているらしい。まああれは本当に不可抗力だった訳だし、ジェシカちゃんもこんなに反省してくれているなら、俺も身体を張った(?)甲斐が有る。

……寧ろ、あの問題が多い2人きりの方を誰にも取られなかったから良かった。あれを撮られてでもいたらお互い終わりだ。


「いや、過ぎた事だし別にいいんだ。あと受験が終わるまで……というか、これからもスキャンダルは避けたい」


俺がスキャンダルに巻き込まれると家庭にも両親の仕事にも差し支えるし、俺達は一般人だから正直芸能人関係のゴタゴタは非常に困る。

俺の言葉をしっかり受け止めているのか、ジェシカちゃんはいつになく真面目な顔で頷いて聞いていた。


「それと、もう一つ今日はずっと、ヒロキを待ってました」


「え、他にも何かあった?」


「お別れを言いに来たのです。実はジェシカ……来月からの長い仕事でイギリスに戻る事になったのね」


そうか、それで雪が普段であれば絶対に勉強しない英語をジェシカちゃんから習っていたのか。

外崎がどうしても写真を撮りたいと言っていたのももしかして彼女が日本から帰ってしまうからなのか? ただの理系勉強家と思っていたけど、あいつのジェシカちゃん関連の情報網はどこから出ているんだろう。

確かにこの機会を逃したらもう日本でジェシカちゃんを近場で拝む事は難しいかも知れない。


「そういえば、ジェシカちゃんってもっと小さい頃に日本で何か仕事していた?」


「ハイ、パパと一緒に表参道行きました。そこでスカウトされて写真撮りました。また電話きて、今度はマサトとクミとテレビ出ました」


多分、知らない名前だが芸能人の誰かなんだろう。テレビに出た、というのが外崎の言う子役デビューの話なのかも知れない。

でも、そんな脇役なのか分からないものをあいつもよく覚えているもんだと感心してしまう。


「実は俺のクラスメイトにジェシカちゃんがそのテレビに出た時からのファンが居るんだけど、1回会って貰えないかな?」


「ハイ、大歓迎です。ジェシカ、帰る前に新しいサイン練習しました! 日本語です」


2つ返事でOKしてくれた事に俺はジェシカちゃんの優しさに感謝した。普通に考えたら彼女はこんな簡単に身近で会えるような存在ではない。

信用して貰えているからこそ、家にコソコソ出入りしたり、雪と仲良くしたりしてくれているのだろうけど、普通であれば追っかけとかに見つかってこの辺りはパパラッチの山になっていただろう。

そこら辺が完璧に保護されているのは、日本の中でもかなりの小児科名医であるジェシカちゃんの父、牧野教授の名前が強いからなのかも知れない。

あの優しい教授を敵に回したら全国の患者さん達が困るだろうし。


ジェシカちゃんのお陰で外崎との約束も果たせそうだし、これから苦しくなる勉強の過去問もゲットできる。

ただ、ジェシカちゃんが居なくなるから友達である雪は寂しくなるだろうけど、麻衣ちゃんとか居るんだし、何とか寂しさを乗り切ってもらうしかない。


何とか受験前までに俺の普通で平穏な生活が戻りそうな状況に心の中でほっとしていた。


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