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妹が可愛いすぎて困ってます。  作者: 蒼龍 葵
弘樹高校3年生
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ポッキーゲーム


「彩ちゃん誕生日おめでとう〜!!」


雪はお友達の彩ちゃんの誕生日祝いで今年は麻衣ちゃん、莉奈ちゃんとカラオケに来ていた。

みんなで出し合って買ったケーキを紙皿に並べてドリンクで乾杯する。


「持ち込みOKなカラオケは本当に有難いわよねぇ〜。あ、フライドポテトとポッキー頼んで」


「飲み物は2杯目どうする? 各々注文でいいかな?」


こういう場所に慣れている彩ちゃんと莉奈ちゃんがサクサク注文とか進めてくれていた。

雪は歌はあまり歌わないけど聞くのは好きだ。


「彩ちゃん、歌って主役だし」


「何にしよっかな〜、とりあえず盛り上げにA○Bでも入れようか」


アイドルの曲を踊りながら歌う彩ちゃんに雪は借りてきたマラカスを振った。やっぱり歌って上手い人は上手いんだよなあ、羨ましい。

ふと視線を動かすと、麻衣ちゃんが莉奈ちゃんに絡まれていた。確か莉奈ちゃんは麻衣ちゃんの事が大好きなんだとか。

そりゃ麻衣ちゃんはカッコイイもん。変なヤンキーをラケットで撃退したり、強い男が相手でも絶対に怯まない。雪の憧れの親友。


「麻衣ちゃん、ポッキーゲームしましょ♡」


「……何、それ?」


「んフフ、お互いにポッキーの端を食べて、先に口を離した方が負けって単純なやつ」


「でも……最後の方になったらキスしちゃう」


き、キス!?


雪は彩ちゃんの歌を聴きながら2人のポッキーゲームというものにもチラチラ耳を傾けた。


「はああ、やっぱ最初は緊張しちゃうわ。ほら莉奈も歌いなさいよ」


「はぁ〜い。じゃあアレ入れよ」


今度は莉奈ちゃんが別のアイドルグループの歌を歌っていた。彩ちゃんもそれを知っているようで、結局またマイクを握って2人でハモっている。

雪はポッキーゲームの説明を途中まで聞いて固まっている麻衣ちゃんの肩をトントンした。


「ねぇねぇ、麻衣ちゃん。ポッキーゲームってなあに?」


「知らない……初めて聞いた」


「それ、ひろちゃんにも出来るかなあ」


「弘樹さん、甘いものダメなんじゃなかった?」


がぁん。そうだった……ひろちゃんはチョコレートが好きではない。

毎年バレンタインデーになると、いつも大量のチョコレートを貰ってくるけど、1個も食べられなくて結局、パパと雪が全部食べ尽くしている。

中には可愛い手作りや手紙が入っている本命っぽいやつもあったけど、そんなのひろちゃんに報告なんて絶対にしない!


「ポッキーゲーム、どうにかひろちゃんと出来ないかなあ……」


「わ、私も……兄貴と出来たらいいんだけど」


麻衣ちゃんは普段クールなのに、おにぃちゃんの話になると途端に可愛くなる。今も耳まで真っ赤になっていた。こういうのがギャップ萌えって言うんだっけ?


「あっ! ちょっと、櫻田さん何抜け駆けしてんのよ!」


歌の途中で莉奈ちゃんがマイクを雪に向けたまま怒っている。

そういえば、莉奈ちゃんは雪に対してだけ苗字で呼んでくるし、麻衣ちゃんと少し話してるだけですぐに割り込まれる。

よほど麻衣ちゃんの事が好きなのかなあ? 麻衣ちゃんカッコイイから仕方ないよね。


「ね〜え、麻衣ちゃん櫻田さんに何か歌わせて私達はポッキーゲームしましょ♡」


「え、ええと……雪ちゃん、歌えるの?」


「うん……わかんない。あ! そうだ、ジ○リの曲なら分かる!」


雪は昔ひろちゃんと見た有名映画を思い出してそれのテーマ曲を探した。

主役の彩ちゃんはまだまだ歌いたいみたいで、雪と一緒にまたデュエットしてくれた。


「ん〜、今日は沢山歌えたわ、みんなありがとうね」


「彩ちゃん誕生日おめでとう。これプレゼント!」


「わあ……ありがとう! 家に帰ったら早速開けさせてもらうね!」


雪達3人で出し合って買ったネックレスは多分女子力の高い彩ちゃんにすごく似合うと思う。


みんな家の方向が違うのでカラオケ店からそれぞれ違う方向に向かう。雪はポッキーゲームが気になって途中のコンビニに寄った所で麻衣ちゃんに見つかった。


「雪ちゃん、細長いおやつなら、ポッキーじゃなくてもいいみたいだよ」


「ええっ!? そうなの? じゃあうまい棒とか?」


「あれは美味しいけど太いし噛んだ時に汚れるからダメだと思う……」


「うーん、あ! いいものあった!」


雪はサラダ味のプリッツを手に入れた! よおしこれで今日はひろちゃんにプリッツゲームで仕掛けてみよう。

麻衣ちゃんはやはり恥ずかしいみたいで10分くらいポッキーの前で悩んでいたけど結局買えないまま帰ったみたい。




──────





「ただいま〜」


最近ひろちゃんが7限まであるから帰りが少し遅い。でも今日はプリッツゲームが出来るからいいの。


「ひろちゃん、プリッツゲームしよ!」


「おー、丁度腹減ってたから有難い」


やった! 雪のゲームにひろちゃんが食いついてくれた。それだけでも嬉しいのに、ひろちゃんはいつも通り帰宅したら手洗いとうがいをして戻ってきた。


「で、何だって?」


「プリッツゲーム! お互いに端っこ食べていくの」


「ふぅん」


雪が先に口に含んで動かしていると、ひろちゃんは一瞬で八割くらいをパキッと割って食べてしまった。残りがわずかなので雪が食べて終わり。


「これで終わりか?」


「ち、ちがうもん! ひろちゃんもっかい! もっかい!」


ルールを理解していないひろちゃんはお腹が空いていたせいもあり、一瞬でプリッツを半分以上食べてすぐ口を離してしまう。だから全然ゲームにならない。

まさかと思うけど、ひろちゃんはポッキーゲームの事知っているのかな? だから意図的に1回で食べて終わろうとしてる??


結局最後の1本まで雪へのキス作戦は成功しないまま終わってしまった。

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