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妹が可愛いすぎて困ってます。  作者: 蒼龍 葵
弘樹高校2年生
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雪とマリア2


「ユキチャン、ヒロキとHしましたか?」


今日もジェシカちゃんがお仕事で遅くなると言うので、雪はマリアちゃんと一緒にお家に居た。

別にマリアちゃんをいつものように1人で図書館へ行かせてもよかったんだけど、ひろちゃんが図書館で勉強するのにマリアちゃんが居ると集中出来ないみたい。

だから、雪が家でマリアちゃんと遊んでくれるとひろちゃんも助かるんだって。

ひろちゃんの為になるんだったら、いくらライバルだろうと雪頑張る。


マリアちゃんはハーフさんで、お姉ちゃんのジェシカちゃんも有名なモデルさんだし、雪達と住む世界がちょっと違う。

だからマリアちゃんは雪の先生として色々教えてくれるの。


「マリアちゃん、Hってそのぉ……」


雪はあまりにも可愛い口から突然出てきた衝撃的な言葉に返答するのに悩んだ。

マリアちゃんは海外のちょっと刺激の強いものも平気で見ているらしくて、雪よりもハッキリ言ってかなり大人の知識が多い。

──まだ小学生なんだけど。


「oh......その様子じゃまだね、じゃあキスします?」


「ええっ!? マリアちゃんとキスしてもしょーがないじゃない!?」


「マリアと違う、ヒロキとキスします?」


ひろちゃんとキス?


雪はひろちゃんが文化祭の出し物をやる時に、ひろちゃんに床に押し倒された事を思い出した。

あと少しで唇がくっつきそうな状態だったけど、ひろちゃんは本当は壁ドンがしたかったみたいで、文化祭が終わるまで雪に壁ドンしてくれた。

SNSに雪のわたあめ食べてる写真をアップする約束をしていたんだけど、それが実はひろちゃんの為ではなかったって知って、雪は途中で約束を破った。

ひろちゃんのクラスの売上になるから協力して欲しいって言われたのに、雪がやっていた事はひろちゃん達のお邪魔だったんだって。


「ひろちゃんとキス……」


「ユキチャン、その様子だとまだまだね。マリアはもうヒロキとキスしました」


ガーン。雪は小学生に負けてる……。


しかも、ひろちゃんがいつどこでマリアちゃんとキスしたかなんて知らない。


でもマリアちゃんは嘘をつく子じゃないので、多分間違いではないだろうし。

今も勝ち誇ったような顔で自慢している。


「うう、マリア先生……どうやってひろちゃんとキスしたんですか?」


「ハイ、マリアの家ではここにキスするの挨拶です」


マリアちゃんは自分の額をトントン叩いて教えてくれた。確か、ハグとキスはご挨拶なんだっけ?

流石に日本ではそういう事する人居ないけど。


「ずるい……」


「ユキチャンも、お願いしてみるといいです」


「雪は日本人だから……ええと、そういうの恥ずかしいというか、色々言われると言うか……」


「ユキチャンの気持ち次第では? もっとストレートに! ヒロキ好き、キスしたい! Hしたい!」


「わーわー! 待って待ってマリアちゃん! キスは分かったから。えっちは流石に……」


以前ひろちゃんと見たアダルトビデオってやつを思い出す。

今思うと、かなり恥ずかしいものを見た気がする。

綺麗なお姉さんが艶かしい声で喘いで、男の人にあちこち触られて最後は──。


「ひゃーだめだあ〜! マリアちゃん、絶対にだめ!」


「Why??」


「ダメなものはダメっ! ひろちゃんとえっちなんて絶対ダメだよ!」


「ンンン……理由、知りたい。Why」


「えっと、えっと……」


雪じゃマリアちゃんに勝てないから、なんて言えない。キスは挨拶として、えっちなんてされたら、ひろちゃんはマリアちゃんの所に嫁いでしまうかもしれない。

あれ、ひろちゃんは男の子だから嫁ぐって言わないのか。でもひろちゃんが家から出ていったら困る!


「ひろちゃんは、これから難しい学校に行くの。だからね、えっちすると頭がおかしくなるからダメなんだって!」


「ノーノー、それ違います。ボンノウの解放です、ジェシカ色々教えてくれます。男の人、骨抜き。ハッピー。マリアもハッピー。きっと、ヒロキもハッピー!」


ジェシカちゃんは妹さんにとんでもない事をレクチャーしているのだろうか。まだ小学生なのに刺激が強すぎる。

こんなに可愛い顔の子にHしたいなんて言われたらそりゃあ世の中の男の人が骨抜きになるのも分かるよ、分かるけど、それは他人にして欲しい。

とにかく、雪のひろちゃんを変な道に進ませないで欲しい……!


「だから、マリア、ヒロキとHする。ヒロキハッピー、マリアもハッピー!」


「うぅ……」


こうなったマリアちゃんを止める方法が分からない。氷だけになったアイスティーをぐるぐる掻き回していると最悪のタイミングでひろちゃんが帰ってきた。


「ただいま〜」


「あ、ひろちゃん! おかえ……」


「ハイ、ヒロキ!」


雪を吹き飛ばしてマリアちゃんはすぐさまひろちゃんに抱きついていた。小動物のシッポが幻覚で見えそうなくらいの喜びようだ。


「ああ、マリアちゃんいらっしゃい。もうすぐ先生が迎えに来てくれるのかな? 俺はモデルのジェシカちゃんがいる家に行くわけに行かないから送れないけど」


「今日はジェシカ仕事終わったらマネージャーと来てくれる。それまでヒロキと一緒! マリアとHします!」


「はい?」


状況がさっぱり分からないひろちゃんはマリアちゃんと雪を交互に見つめた。その顔は何があったのか確認しようとしている。

雪だってマリアちゃんを止めたいけど、マリアちゃんは雪よりも暴走するから全然止まってくれない。


「ヒロキ、マリアとHするです!」


「……」


ああ、ハッキリ言っちゃった……これで2回目。もうダメだ。ひろちゃんがマリアちゃんに骨抜きにされちゃう。

雪ががっかりしていると、ひろちゃんは予想外の行動に出た。

目線をマリアちゃんに合わせてひろちゃんは膝をついてしゃがんだ。


「マリアちゃん、俺はね、将来マリアちゃんのお父さんと同じような所で働きたいんだ。その為にはもっと勉強しなきゃ無理。気持ちは嬉しいんだけど、俺にはそういう時間が足りないんだ」


「ムム……ヒロキが大学に行ったらHしていいですか?」


「。あそうだね。今はとにかく勉強に集中したい。だからマリアちゃんも軽々しくそういう事を言ったらダメだよ?」


「……ワカリマシタ。ヒロキ、嘘つかない」


折れた! 折れたマリアちゃんが!!

ひろちゃんは相手が子供だろうと邪険にしないし、きちんと大人とも同じ対応をする。

だからマリアちゃんはひろちゃんの事が好きなんだろう。ひろちゃんは誰に対しても優しいから……。


それから1時間ほどしてジェシカちゃんとマネージャーさんがマリアちゃんを迎えに来た。

マネージャーさんはいつも本当に申し訳無さそうにひろちゃんに頭を下げまくっている。マリアちゃんの取り扱いは大人でも大変みたい。


一難去った所で雪はひろちゃんに呼び出しされた。


「雪、俺が何で怒っているか分かるな?」


「マリアちゃんが勝手にえっちしたい!って言ったんだもん。雪悪くない!」


そもそも言い出し側はマリアちゃん。雪は自分からこの話に触れていないので被害者だ。

濡れ衣を着せられてひろちゃんに嫌われるのなんて絶対嫌!


「はあ……小学生相手になんていう事言わせるんだ。まあ何年かしたらマリアちゃんにはすぐ彼氏出来ると思うから、雪もあまり真に受けないで適当に流しておけよ」


「はぁい……」


「でもな、雪がマリアちゃんを止めてくれるお陰で図書館がいつもより集中出来る場所になった。──ありがとな」


ひろちゃんはちっとも怒っていなかった。いつもの優しい手で雪の頭をなでなでしてくれる。

えっ、まさかのご褒美すごい嬉しい。

ひろちゃんにとって今は勉強が1番。それを邪魔するものは何でも省きたいのは知っている。

こんなにもひろちゃんに感謝されるなら、雪はこれからもマリアちゃんの相手頑張るぞ〜!

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