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妹が可愛いすぎて困ってます。  作者: 蒼龍 葵
弘樹高校2年生
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学園祭その1(S女編)


「弘樹の妹ってS女学院に居るんだよな?」


クラスメイトの佐野佑樹。彼は新聞部に属しており、今までも学校で起きた事件やスキャンダルを取り上げて号外を作る手腕を持っている。

正直こいつに関わられると雪やジェシカちゃん関連を取材されそうで少し距離を取っていた。


「そうだけど、何かあったか?」


「頼むっ……一生のお願いだ! 何とかお前の親戚とか関係者扱いにして学園祭に行かせてくれえええっ!!」


土下座しそうな勢いで俺に頭を下げてきた彼を無下に追い払うことも出来ず、俺は同じくS女学院に通う妹をもつ田畑を見つめた。


「田畑の妹もS女にいるよ?」


「いやいや、俺が忍の関係者とかちっと無理あんだろ、弘樹は文系っぽいし、俺と近くない?なあなあ」


確かに田畑の関係者になるには少しやんちゃな方が違和感無いだろう。

佐野は「The・文系」かオタクと言うのがしっくりくるような外見で、どう頑張っても田畑と一緒に居ることは違和感しかない。だから俺に白羽の矢が飛んできたのか……。


「S女に入るのってそんなに難しいのか?」


「そうなんだよ、あそこ女子校だから学園祭の時もチケットが無いと絶対入れないし、代表の身分証明に近いものが必要なんだ。今年の学園祭はミスコンと猫喫茶と眠れる森の美女を上映するらしくてな〜。どれも取材しがいあるだろ!?」


熱く語る佐野だったが、俺はそういえば雪から学園祭の話はひとつも聞いていない。何か俺に隠したい事でもあるんだろうか?


「という訳で……弘樹、是非妹さんからチケットを貰ってきてくれ、頼む!頼むううう!」


「わ、分かった、分かったよ。暑苦しいからもう寄らないで……」


「おぉ!流石戦友! いやったあ〜!これで牧野ジェシカの取材が捗る〜!」


俺がOKした瞬間、佐野は小躍りしそうな勢いで教室から出ていった。まあ、ついでに雪に色々確認したいからいいか。



──────




「ただいま〜って、あれ珍しい……雪が遅いのか」


最近は俺の方が7限まである時もあり、図書館に寄って勉強する日があるので基本雪の方が帰宅するのが早い。

俺は雪が居ない間に洗濯を先にしようと思い、脱衣所にある服を見て固まった。


なんで、スクール水着があるんだ!? まさか、雪はダイエットかジムでも行ってるんだろうか、でも母さんがそんな事雪にさせる訳ないし、そもそも雪は太ってない。なんでこんな寒い時期に水着なんて……?


「でもこれ、学校のやつじゃないな……誰かの借りたのか? 水着ってレンタルするもんじゃないだろうし……」


「ひゃああああ!! ひ、ひひひひろちゃん、雪の水着で何してるの!?」


「あ、ごめん」


全然雪が帰ってきた事に気づいてなかった。これでは妹の水着で抜いてる変態みたいに思われるじゃないか!

これについて言い訳しようか悩んだが、正直何でこの時期に水着が置いてあるのかが気になった。


「雪、今の時期にどっかで泳いでるのか?」


「ち、ちちちちがうの。ああああ何でひろちゃんに見つかっちゃったのお……恥ずかしい」


珍しく俺の手から水着を無理矢理奪い取ると雪は真っ赤になって顔を埋めていた。相当その水着に何かあるらしい……


「なぁ、雪にお願いがあるんだけど」


「なぁにぃ……?」


スクール水着の上から上目遣いで俺を恨みがましく見つめてくる。

確かに断りもなく水着を触ったのは悪かったけど、そもそもこんなみんなが使う脱衣所に無防備に置かないで欲しい。


「俺のクラスメイトが雪の学校の学園祭に行きたいんだって。何とか家族用のチケット3枚くらい枚調達出来ないか?」


「それは簡単に出来るけど……ひろちゃんに見られたくない……」


珍しく雪に拒否られた。

いつもはひろちゃん来て来てと言う雪が真逆の事を言ってきた事が微妙にショックだった。


「そっか、雪もついに俺じゃなく他の男に興味持ったんだな。それはいい事だよ。俺は行かないけどクラスメイトが行きたがってるんで、そいつ用のチケット貰えるか?」


「ううぅ……ひろちゃん来ないなら嫌だ……」


「どっちなんだよ……俺が行ってもダメなんだろ?」


「あのね、今回雪、喫茶店とミスコンってのに出なきゃいけないの。それの服がさっきので恥ずかしいから……」


「まさかスクール水着で審査されんのか?! どこの昔のアイドルだよ……俺どころか、知らない男達にそんな姿見られる方が俺は嫌だよ」


いくら雪が俺から興味が失せたとしても、あんなにも露出の激しいしかもマニアックなスクール水着でミスコンなんて……

雪は可愛いから優勝出来る可能性はあると思うが、それを誰が投票して誰が見るのかが問題だ。俺以外の男達が雪に投票して萌える姿は考えたくは無い。


「でもね。ミスコンの優勝賞金が大きいの。優勝できなくても、準優勝でも雪が欲しいもの買えるし!」


雪は珍しくお金の話をして顔をニコニコさせていた。確かに俺達はお小遣い制度ではなく、しかも年齢的にバイトが出来るのは俺だけだ。

いつも家の事をしている雪がバイトせずにお金を稼ぐ方法として今回のミスコンはビッグイベントなのだろう。

何を欲しがっているのか聞きたかったが、きっと自分で買うことに意義があるのだろうし、恥ずかしいとしても出ると覚悟を決めたのなら止める必要はない。


「よし、雪ミスコン頑張れよ。俺は心の中で応援してるからな」


「うんっ! ひろちゃんの為に頑張るね」


最後の俺の為と言ったのが非常に気になったが、俺は雪の頭をぽんぽん撫で、衝撃的な水着の事は頭から完全に忘れる事にした。

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