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妹が可愛いすぎて困ってます。  作者: 蒼龍 葵
弘樹高校2年生
43/82

転校生 ☆


「やっぱりジェシカちゃん可愛いわよね〜」

「同じ歳とは思えない。流石ジュニアモデルだけあるって感じ。ハーフだから顔立ちも違うし」


今彩ちゃんと莉奈ちゃんが話してるのは、隣のDクラスに先月末に転校してきた牧野ジェシカちゃん。

元々ヨーロッパの方でモデルとして活躍してて、パパが日本人だからこっちに来たんだって。

クラスの男の子達はみんなジェシカちゃんに夢中。6ヶ国語もお話出来るから頭も良くて、八頭身って言うんだっけ? 足も長いし、顔は小さいし、そして雪の憧れおっぱいが大きい!


「ジェシカちゃんいいなぁ……」

「あ、雪音ちゃんでもやっぱ羨ましいと思う?」

「うん、羨ましい。だってジェシカちゃんはユキが持ってないものを持ってるもん……」


机に突っ伏して雪はまだ大きくならないおっぱいを嘆いていた。

ひろちゃんにはあと4年くらい待つって言ったけど、ジェシカちゃんがあんなに大きいおっぱいあるんだから、きっと何か秘訣があるはず。


「よし決めた! ユキ、ジェシカちゃんと仲良くしたい!」

「えぇ!? 無理だよ、だってスーパーモデルだよ。私達平民と喋る時間なんて無いって」

「そうだよ、学校に来るのは月2回あるか無いかで殆ど特別制度の通信教育でしょ、何でここに来たんだろうね?」

「取り巻きとファンが多すぎて違うクラスだと喋る機会も無いよね」


彩ちゃんと莉奈ちゃんは行動する前から諦めてるけど、雪は諦めたくない。

絶対に、ジェシカちゃんと仲良くなっておっぱいを大きくする秘訣を聞かなきゃ……!


「雪音ちゃん、こういう時の行動力は凄いよね……」

「まあ、それがいいトコでもあり短所でもありじゃない? 私らも行きましょ」


いざDクラスへ出陣!


「パパは日本人です、モデルをやり始めたのはスカウトされて……」


やや片言の日本語が聞こえてくる。多分、取り巻きに囲まれて見えないが、そこにジェシカちゃんが居るのだろう。

休憩時間の度にかなりの質問攻めにあっているが、彼女はそれでもモデルという仕事柄、嫌な顔ひとつせず笑顔を振りまいていた。


「好きな物はお寿司です、家族はパパ、ママ、妹のマリア」


雪は何とか中に入り質問したかったが、とても人が多すぎてそれどころじゃない。


「う〜ん、誰かジェシカちゃんにおっぱい大きくする方法聞いてくれないかなあ……」


どうしても秘訣を聞きたくてそんな事呟いていたら莉奈ちゃんに思い切り笑われた。


「ヤダ、雪音ちゃんまだそんな事言ってたの!? そういうのは〜、早く好きな人見つけないとダメだよ」

「あはは。雪ちゃんは純粋だからね、何であれだけ言ったのに弘樹さんに揉んで貰わなかったの?」

「だってだって、ひろちゃんは牛乳が何とかしてくれるしか言わないんだもん! ユキ、おっぱい大きくなりたいのに!」

「そこのYou」


ヒートアップしてしまったせいか、雪の大声がジェシカちゃんに聞こえたらしい。彼女はびっくりしたようにこちらを見て両手を合わせて微笑んでいた。


「まあ、何てキュートな悩みなのかしら。グラマラスになりたいのね?」

「はい! ユキはジェシカちゃんみたいにおっぱい大きくなりたいです!」

「ちょ、ちょっと雪ちゃん……!」

「失礼でしょ、相手はスーパーモデルよ……!」


いくら何でも初対面にどストレート過ぎる。彩ちゃんと莉奈ちゃんがなんだか雪の事止めて来たけど、ジェシカちゃんは面白いガールね!と今日1番の笑顔を見せてくれた。


それから雪はジェシカちゃんと話がしたくて毎日Dクラスに行ったけど、ジェシカちゃんは忙しいから殆ど学校に来ないし、来ても取り巻きが多くて結局何も聞き出せないままだった。


とぼとぼと雪が1人で帰る途中で、黒い車が真横に止まった。


「ハァイ! ええと、ユキチャン」

「あっ! ジェシカちゃん! どうしてユキの名前知ってるの?」

「クラスメイトが教えてくれました。ユキチャン、とてもプリティガールね。バストアップの話ね?」


まさか、忙しいスーパーモデルが雪の小さな質問を覚えていてくれたなんて!! 思わず嬉しくて車の窓からジェシカちゃんに抱きつきたくなった。


「sorry、これからお仕事なの。バストアップはプッシュアップ……ええと、大胸筋を鍛えるのです」

「大胸筋??」

「これ、トレーニング動画入ってます、ユキチャンにあげます」

「ええっ!? いいの?」

「ハイ、ユキチャンとてもプリティガールね。今度一緒にお仕事しましょ」

「ありがとう! ジェシカちゃん!」


全然お話する機会もなく、クラスも違うのに雪の事を覚えてくれていたジェシカちゃん。しかもお仕事忙しいし学校も来れない事が多いのになんて優しいんだろう……。

もっとお礼も言いたかったけど、ジェシカちゃんは分刻みスケジュールなので聞くことは出来なかった。




──────




最近ひろちゃんはバイトを減らしてくれたけど、高校3年生から専攻別のクラス編成があるらしく、ひろちゃんは理系に進む為に図書館に行く事が増えた。

最初は早く帰ってきて欲しいなと思っていたけど、ひろちゃんは将来をずっとブレずに考えているから雪が邪魔しちゃいけない。

ただ、ひとつ。彼女は出来なきゃいいのにってそれだけをずっと考えている。


「そうだ、ジェシカちゃんに借りたやつ見てみよう!」


ひろちゃんは今帰宅していないから部屋のDVDプレイヤーを使っても怒られない。

勝手にひろちゃんの部屋に入るのはすごく久しぶりで、なんか悪いことしてるみたいでドキドキする。


ひろちゃんの部屋は相変わらず綺麗に整頓されていてあまり生活感が無い。

几帳面な性格だから雪がいちいちお掃除に入らなくても綺麗でやる事がない。


ジェシカちゃんに借りたDVDを入れてトレーニング動画というものを見る。

まず衣服から動きやすいものにしなきゃいけないようで、雪はとりあえず制服を脱いでスポーツブラと短パンだけの姿になった。


「呼吸方法から……あと猫のポーズ? 腕立て伏せと」


胸を寄せるトレーニングはブラが邪魔で効果がさっぱり分からない。

雪はひろちゃんがまだ帰って来ないと思い、ブラも外して画像と自分の胸が動いているかを何度もリプレイで確認した。


「う〜ん、効果がわかんないけど、ちょっと肩が痛いかも……もっと身体柔らかくしなきゃ」


雪は肩をグルグル回しながらリビングに戻ってタオルで汗を拭き、水を飲む。やっぱりストレッチって動きは地味だけどすごく汗をかくみたい。


「ただい……ま」

「あっ、ひろちゃんおかえり〜!」

「ちょ……何で雪が服着てないんだ!? ああもう……」


ひろちゃんは図書館で借りてきたらしい本をそのままドサドサと玄関に放り投げると雪の身体にバスタオルをかけてくれた。雪が裸みたいな状態でウロウロしてたからなんだろうな、やっぱりひろちゃんは優しい。

そう言えばトレーニングの途中でひろちゃんの部屋から出てきたから、全部そのままだった。


ひろちゃんは荷物を持って慌てて自分の部屋に戻っていったけど、ひろちゃんの部屋にジェシカちゃんから借りたDVDと雪の制服と脱いだままのブラが転がってる。


「ひろちゃん、雪の制服とDVD……」

「あのな雪。いい加減女の子らしく自覚を持ってくれ……ほらこれ大事なやつなんだろ、DVDならリビングでも見れるんだから、これからは勝手に俺の部屋に入らないで欲しい」


ジェシカちゃんから借りたDVDと脱ぎっぱなしの制服セットを受け取る。女の子らしく、なんて言われたの何回目だろう。


ひろちゃんに怒られた。


あまりひろちゃんは怒らないんだけど、雪が何もかも脱ぎっぱなしでひろちゃんのお部屋汚くしちゃったのが悪かったのかなあ。


ごめんねひろちゃん……ユキは反省します。

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