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妹が可愛いすぎて困ってます。  作者: 蒼龍 葵
弘樹高校2年生
34/82

水族館デート1 ☆


20年振りの同窓会から帰ってきた父さんが、友人に貰ったと水族館の入場無料券を2枚くれた。


「本当なら家族みんなで行けたらいいんだけど、いつも頑張っている弘樹にこれ渡しておくな」


「こっちは全然大丈夫だよ、父さんも母さんも仕事忙しいの分かってるし」


2枚、という事は雪を連れて行けって事だろうか。……でもなあ、雪だってもう中学生。俺だって田畑や磯崎とバカ騒ぎする以外で女友達の1人や2人くらいは作りたい。

それに、もうすぐ高校の大イベントの修学旅行が控えている。だからこそ、そろそろ雪には兄貴離れしてもらいたい。修学旅行で俺が3日留守にするだけで絶対にごねるのが目に見えるからだ。


「父さん、これ雪には内緒でいい?」


「あぁ、それは弘樹の好きに使うといいよ。雪だってもう大きくなったんだし、いい加減お兄ちゃん離れして女友達と遊んでるんじゃないか?」


残念だが、父さんの意思に反して雪は相変わらずブラコンまっしぐらだ。しかも最近さらに悪化している。

一応あの薄布メイドさん服は『絶対に父さんの前では着ないよう』伝えた。雪は真面目だから確かにそれは守っている。

だが、その約束はある意味メイドさん服はひろちゃん専用! みたいなイメージにされてしまったようで、俺が雪のブラコンにさらに拍車をかけてしまった。

いい加減、雪のブラコン脱却の為に俺が先に行動しなければ。俺に彼女まで行かなくても女友達が出来たら、きっと雪も真っ当な道に進めるはず。


「……弘樹、大丈夫か?」


「あ、ごめん。ちょっと考え事してた」


急に俺が黙って頭の中でシュミレーションを始めたから父さんに心配されてしまった。

俺は父さんが風呂に行った所でもう一度貰った水族館のチケットを確認する。


日付はまだ余裕もあるし、まずは明日学校で水族館が好きそうな子を探してみようかな。




──────




「おいおいおいおい弘樹弘樹弘樹ぃ」


「名前連呼すんなよ、うるさいなあ……」


親友の田畑が前の席の椅子に無断でガタガタと座り、慌てた様子のまま小声で耳打ちしてきた。


「お前、相澤と水族館行くんだって!? 一体いつの間にあのスポ根口説いた、俺が知らない間に! ってか、お前の好みって雪ちゃんじゃねーの?!」


「いや全然口説いてねーし。席も隣だし、さっき喋ってた時に偶然動物の話題になったからじゃあ行こうかってなっただけだよ」


「マジか、お前……そんな簡単に決めていいのか? 水族館だぞ、水族館!」


何故田畑がここまで水族館に拘るのか全く分からない。

俺は早いうちにチケットも使えて、女の子と話をするチャンスもゲットしたので別に何も困っていないのに。


「昨日父さんから水族館の入場無料チケット貰ってたし、行きたい人が居るから丁度いいかなって」


「お前……ほんっとバカだなあ〜弘樹は! 水族館だぞ、ベタなデートスポットじゃねぇか。それがなんで相澤!? もっとこう、な。松宮先輩とか居るじゃん」


「……先輩は忙しいから無理だよ、それに色々迷惑かけたから誘いにくい」


松宮先輩に関しては雪のせいでとにかく迷惑をかけまくっている。

最後の花火大会なんて先輩の高校生活最後の思い出って話で行ったのに、結局最悪の終わりをさせてしまった。

流石にまた何かあったら……と思うとこれ以上声をかけにくい。


「た〜ば〜た〜、ちょっと聞こえたわよ、あんたまた私の事何か言ってたでしょ!」


「げぇっ、地獄耳……まだ何も言ってねぇし」


噂の相澤さんに絡まれて田畑は意気消沈していた。次の授業までまだ時間はあるのだが、じゃあな! と手を挙げ俺からそそくさと逃げるように自分の席に戻って行った。


「全く……変わらないんだからあのおバカさんは」


「そういや、相澤さんは田畑と羽球部時代からのお友達だっけ」


「ヤダぁ、あんなの全然友達じゃないわ」


笑いながら全否定する相澤さん。田畑がちょっとだけ可哀想。


「どっちかと言えば腐れ縁じゃないかしら? まあ田畑の悪い所なら幾らでもネタはあるけど全然面白くないからやめとこ。そんじゃ雨宮くん、日曜日楽しみにしてるね!」


「うん、部活忙しいのにありがとう」


「本当、雨宮くんはいつも優しいわね〜。今週の日曜日は自主練無いし、全然オッケーよ。確かイルカのショーが13時30分から始まるから、そこは絶対見たいよね。アザラシも見たいし超楽しみ〜!」


相澤さんはどちらかと言えば雪とは真逆のタイプで明るくて朗らか。

しかも羽球部のキャプテンだからスポーツ万能で、昨年の球技大会では田畑とタッグを組んで最強だった。


彼女を作るよりも田畑を経由しないでまずは普通の女の子とお話しないと先に一歩も進めない。

スポーツマンのお陰か相澤さんは社交的でクラスの女子からも人気があり、さらに羽球部後輩の間ではファンクラブのようなものまであるらしい。

今まであまり直接的に会話した事ないが、俺でも身構える事無く話しやすい空気を持っている。女の子と殆ど話す機会の少ない俺でも凄く気楽だ。

雪をブラコンから脱却させる為には、まず俺が先に行動しないと。


とにかく、相澤さんとの水族館デートはその第一歩なのだ。頑張らないと……!

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