生理2 ☆
生理2
月のものアレっていうのを使うと、ひろちゃんがとても優しい。
ユキは生理っていうのがあまり感じないタイプみたいで、麻衣ちゃんはイライラしたり、彩ちゃんは貧血で具合が悪くなるみたい。
お腹が痛い感じは1番最初の日以外殆ど無かった。
でも、あまり感じない事の難点はある。アレがいつくるのか分からない。
麻衣ちゃんはお胸が大きいから、アレの前はお胸が張って痛みが出るんだって。
彩ちゃんはお腹の下当たりがきゅーって痛くなるって言ってた。体育の授業を時々休むくらい痛いんだって。
なんでユキは全然痛くないんだろう。やっぱり変なのかなあ。
ママにはカレンダーに何でもいいからマークをつけておくように言われたけど、それが何でなのか分からない。
確かに先月から26日くらい経つと月のものアレがくるような気がする。
そして今月も。またよく分からないタイミングで月のものアレが来てしまい、お気に入りの下着が使えなくなって泣く泣く捨てる事になっちゃった。
「またやっちゃったぁ……ほんとお漏らししたみたいでやだなぁ……」
アレの度にくる血の匂いは何度味わっても気持ちいいものではない。
ママに教わった通り黒い小さなゴミ袋に汚れたものをまとめて捨てる。
本当に麻衣ちゃん達と違ってこれのタイミングが分からないので、学校で月のものアレが来たらどうしようかといつも焦る。
ゴミを捨てた後にママに言われた通りカレンダーに赤丸をつける。それを見ていたひろちゃんが参考書から顔を上げた。
「……雪、お腹大丈夫か?」
「大丈夫だよぉ、ユキはお腹痛くないし」
「そっか……クラスの女子が定期的に腹痛になるから雪も大丈夫なのか心配で」
いいなあ、いいなあ〜。ひろちゃんのクラスに行けたらユキも心配してもらえる。本当に羨ましい。ユキもどうにかひろちゃんのクラスに入れないかな?
でもユキとひろちゃんはどう頑張っても埋まらない年の差があるから、同じ所には行けない。
「やっぱり腹、痛いのか……?」
無言になっちゃったせいで、ひろちゃんはユキが本当はお腹が痛いと思ってくれたみたい。
多分、それは無意識なんだろうけど、ひろちゃんはそっとユキのお腹を撫でてくれた。あったかくて優しいひろちゃんの手は昔っから大好き。
「うん……やっぱりおなか痛いよう」
「そ、そうか……確か立ってると貧血って良くないから、ソファーに横になった方がいいんじゃないか?」
「はぁ〜い」
やった、またお腹撫でてもらえる!
ひろちゃんが月のものアレの度にお腹さすってくれるなら、こんなものが何回来ても全然辛くないや。
ユキの変な演技でもひろちゃんは真面目だから信用してくれたみたい。
ニコニコしながらソファーにごろんと横になって目を閉じる。
「こういう時って何が1番いいのかわかんねえからな〜。母さんにほうれん草でも買ってきてもらうか」
あれ、ひろちゃんの手が来ない?
「雪は生肉好きじゃないからレバーはダメだ。大体レバーって調理がよく分かんねえし……」
あれ、なんか……ひろちゃんの声が遠くなっていく。
目を開けてよく見たら、ユキのお腹の上にはひろちゃんがリビングにいる時によく使っているひざ掛けが乗せられていた。
そ、そんなぁ……
ユキは、ひろちゃんにお腹さすさすして欲しかっただけなのにぃ〜!!