Boy's Side 4 ~集結しよう~
放課後の教室に新生かるた部の面々が集結していた。集結と言っても他のクラスから来ているのは大江山さんただ一人だけだ。
「あれだけの人数に声掛けて、結局集まったのはこれっぽっちかー」
「やっぱりって言うか、当たり前の話だけれど先輩方上級生は無理だったね」
それだけでリストの6~7割が没になってしまう計算だ。エージがぼやくのも無理もないけれど、僕としては逆に集まってくれたみんなに感謝したい。改めて部員の顔を一人一人見渡す。
「今日はみんな集まってくれてありがとうございます。えっと、結論から言うと、かるた部設立の申請は却下されました」
「えっ!?」
「なっ!?」
「そんな……」
「どういう事だ?」
突然の宣言に、困惑の色が広まる。
「松帆さんがドタキャンした件は関係ないです。そもそも部活動として認められるには部員数の他にもう一つ条件があって。同好会として一定の活動実績があって初めて部活動として認可されるみたいです」
「……つまり?」
話を察したらしい八十島さんが先を促す。
「かるた部は同好会扱いという括りで発足が承認されました」
「何だよ、驚かせるなよ」
「質の悪い冗談はよして頂戴ね。和泉部長」
八十島さんの冷ややかな拍手の中、エージにせっつかれた。大江山さんもホッと胸を撫で下ろしている。
「同好会扱いなので部費については期待できませんが、その他についてはかなり優遇されています。近年まであった部活動であること、担い手が1年生で今後の継続が見込めることが有利に働いたとのことです。一番大きな点は部活動への昇格条件について。通常一年間の活動実績が必要なところが、9月の文化祭の活動如何では後期からは正式な部へと昇格出来ることになっています」
「へぇ。期待されているのね」
「何だか、凄いですね!」
「実際問題、昇格したところで変わるのは部費の上限くらいだけどね。それだって、増えたところで使い道なんてそうないだろうし、実際に配分される額はそう変わらないと思うよ」
大江山さんがあまりにも目を輝かせるものだから、ちょっと釘を刺しておく。
「で、早速今日から活動開始、ってわけか、和泉?」
「一先ず今日の所は顔合わせ。それと、今からみんなで部室を見に行こう」
「わ!ちゃんと部室もあるんですね!」
「それはそうだよ。練習する場所は必要でしょ?」
「畳のある部屋なの?」
八十島さんの指摘はもっともだった。競技かるたをやるならそれなりの広さのスペース、それも畳敷きの場所が必要だ。最悪、どこかに茣蓙を敷いた上で練習する羽目になるかとも思っていたけれど、先生からはちゃんと適した部屋があると聞いていた。
「一応、ね。それじゃぁ、早速行ってみようか」