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世界の相違

取り敢えずどうぞ。

「いや、こちらの勝手な都合で、お主を喚んだのだ。 ましてや心身共に負担を掛ける様な目に合わせたのも、こちらの方だ。

本来ならば、まず私が謝罪をするべきものだ。

しかし、あの時は王としての立場があった。

皆の前で軽々しく頭を下げる事は出来なんだ。

だから機会を貰った今、詫びを入れさせて貰いたい。


本当に迷惑を掛けた。 どうか許して欲しい」


そう言って頭を下げる。


面会をクレハに頼み、時間を貰い、国王様の私室に入り、謁見式の無礼と会見を反故にした事を謝罪したら、こうなった。


やはり国王様は違う。


体から漂う威厳や威圧感は無条件で頭を垂れたくなるし、何だか目線も合わせにくい。

それに人として間違った事は直ぐに改める度量もある。

更に極めつけは、非常に残念な事にモテない男の敵、イケメンとキタもんだ。

もし若い頃は数々の浮き名を流していたらしいとか普通に聞かされたら、それはヨウゴザイマスね、モテモテ君は僕らに話し掛けないで下さい、リア充(爆)とか口にしてしまいそうだ。


と、馬鹿な事を考えている内に側近の方に睨まれてます!?

何故に!?と思って気付いた。


まだ頭下げてます。


ヤバイ、変な所で硬い人だ! 偉いんだから、許しを貰うまで頭下げ続けなくても良いのに。

慌てて告げた。


「もう、それについては気にしないで下さい。 事情は王女殿下から伺っています。 苦しい決断の末の事と聞きました。

それに私の体についても代わりの義体を用意して下さったり、王女殿下自ら私の面倒を見て頂いたりと、過分な待遇もありました。

ですから、頭を上げて下さい」


俺の返しを聞き、漸く顔を上げてくれた。


「む、そう言ってくれるならば助かる。

今後の事についても要望があれば、その都度、娘に言って貰いたい。 出来る限りは応えたいと思っている」

「はい、気を使って頂き、ありがとうございます。 こちらこそ、何か力になれる事があれば協力したいと思っています」

「そうか……本当に助かる。 知っての通り、我が国は神々から見放されかけている。

それ故、此度の仕儀になった訳だが、今回の事で神々の要望に多少は応えられたとは思いたい。

しかし、それで直ぐに状況が改まる事は流石に無いだろう。

その為、此方からも何かしら動かねばならぬと考えてはいた。

そこに、お主の協力を得られる事になったのは、本当に助かる。

改めて感謝する……有り難う」


そう言って、再び頭を軽く下げる。


何か想像していたよりも、かなり気さくな人の様だ。

クレハの話しでは、厳格で私達には怖い父様と聞いたんだけどなぁ?

よく言う、内と外の違いなんだろうか?


まぁ取り敢えず、それは置いて考えてみよう。


期待されているのは解る。

でも何でも出来ると思われていると、かなり不味い事になる。 誤解されているのは困るので、学ぶ事が沢山あるとは言っておかないと。


「いえ、礼には及ばないと思います。

私の住んでいた国では戦がかなり過去の話しで、一般人には戦いの技術は護身術等の一部を除いて、武器の所持については、ほぼ認められていませんでした。

逆に、世界中で何時・何処に居ても技術や知識等の情報検索・収集・交換は一般人にも簡単に出来ましたし、国にも依りますが、ある程度の年齢まで教育を受ける権利と、教育体制は整っていました。 私自身、その教育を受けている最中でしたし。

なので、求められる事にも依りますが期待に応えられるかは、まだ分かりません。

ですが、シノミヤに喚ばれた上は此方の流儀に従って学びたいとは思っています。」


と、かなり失礼かもしれないけど言うべき事は確り伝えてみた。

すると側近の武官の方が、


「お主の国は戦が無かったのか!?

しかし、魔獣等の対策はあるだろう? 如何していたのだ!?」


驚いたのか、横から直ぐに口を挟んで聴いてきた。


「世界中に魔獣自体、存在してはいませんでした。 それに世界中で小競り合いを除き、大規模な国同士の戦も最近はありません。

後は、世界中の探索も深海を除き、ほぼ終了しています。 地図は街中の細い路地も載っていますし、道具で検索すれば、その場から現地の様子を見る事さえ出来ます」


俺を除き、私室に居た全員(クレハ、国王様、側近武官、文官)が目を見開き、ポカンとした表情で固まった……。



説明ばかりで、話が進んでくれない……。

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