3.帝国皇女の決意
一連の話が終わったところで、皇帝が聞いた。
「それで、どうしたいのだ」
「ライムの生まれ変わりを探して、責任を取らせる。前世で私がどんなに苦労したか思い知らせてやる。ライムの生まれ変わりを探し出して、夫にするの。そして、面倒ごとをすべて彼にやらせる。死んだからそれで終わり、そんな生半可な言葉でかたずけられたら私の気持ちが収まらない」
この言葉には皇帝は少し引いてしまったが、気を取り直して、
「それで、ライムの残りの妻たちはどうするのだ」
「そうね、彼女たちも被害者よね。ライムがいなくなると、『またどこで女を口説いているのだろう』と話をしていたの。最初はライバルだったけど、そのうち同志になった。
それにライムの子供がすべて空間魔法を使えるということは秘密にしておきたいから、彼女たちの生まれ変わりも探し出して手元に置いておきたい」
「そうだな、そのほうがいい。ライムの生まれ変わりを探し出して、確保しないといけない。子供を作れるような年になって、空間魔法が使える子供がたくさん生まれると、下手をするとこの大陸の勢力図が変わる」
皇帝が
「それでどのようにして、ライムやその妻たちの生まれ変わりを探すのだ」
「たぶん、生まれ変わった人間の誕生日が同じだと思うの。私の前世の誕生日は10月1日だった。そして今の私の誕生日も10月1日。だから帝国の貴族年鑑で誕生日が同じ人間を探していく。とりあえず貴族から探す。平民や奴隷だと誕生日すらあやふやだから、平民や奴隷はまた方法を考える」
「そうだな、気の遠くなるような話だが、出来るところから探していくしかないな。誰か補佐をつけようか」
「いらない。秘密が漏れると困るから私一人でする」
「そうは言ってもお前はまだ5歳なのだぞ」
「でもいい。見ていて、今から転移魔法を使うから」
そう言ったかと思うとエルネスティーネの姿が急に消えて、部屋の隅にその姿が現れた。
これには皇帝も皇后も驚きであった。
「こんな魔法見せられたのは初めてだ。それで、どれくらいの距離を移動できるのだ」
「生まれ変わってからは試していないからわからないけど、多分帝都の中だったらどこへも行けると思う。ライムは他国へも一瞬で移動できた。私の子供たちも同じように他国へも一瞬で移動できた。他の妻たちの子供も転移魔法が使えたけど、能力的には私の子供方が高かった」
「ライムの妻と子供は全部で何にいたのだ」
「妻が私を入れて10人、子供が38人」
「38人の子供すべて転移魔法が使えたのか」
「使えた」
「恐ろしいことだな。こんなことが出来ると、子供たちだけで暗殺集団が出来てしまう。他国に知られるとまずいな」
「わかっている。私だけで密かに調べる」
「それで、皇帝陛下、もし、ライムの生まれ変わりが見つかったら、結婚させてくれる」
「今でも好きなのか」
「多分。いろいろ思うところはあるけど、ほかの人と結婚する気にはなれない」
「わかった。若し転生者にライムの能力が受け継がれているなら許可する」
「ありがとう、お父様、お母さま」
「それともう1つ、ライムの妻たちなのだけど、彼女たちもライムと結婚させてあげてほしい。そうしないとライムは転移魔法で一瞬にどこかへ行って、新しい妻を迎えてくると思うから。とにかく女癖が悪いので全員で監視しないといけないから」
「それでいいのか」
「彼女たちも被害者だし、どこのだれかわからい女と子供を作られるよりはまし」
「わかった、ただし、正式な結婚は無理だぞ。愛人となる」
「それでいい」
こうして、帝国皇女は皇帝と皇后から皇女の前世の夫の生まれ変わりとの結婚の許可が得られたのである。そして、帝国皇女の前世の夫と妻たちの生まれ変わり探しの活動が始まった。




