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私の名前は、アヤカ。

普通の女の子だった。

朝起きて、コーヒーを淹れて、仕事に行く。

夕方帰って、夕飯を作って、テレビを見る。

そんな、ありふれた日常。

でも、心の奥に、いつもあった。

あの、温かくて、柔らかい、甘い味への渇望。

彼は、私のすべてだった。

一緒に暮らして、三年目。

毎朝、キスをして出かける。

毎晩、抱き合って眠る。

幸せ。


キッチンで一緒に料理を作ったり、

ソファで寄り添って映画を見たり。

彼の笑顔が、私の太陽だった。

でも……知りたくなった。

彼の味を。

最初は、冗談みたいに思った。

「ねえ、×××君の味、どんなかな?」

彼は笑って、首を振った。

「変なこと言うなよ」

でも、私は本気だった。

夜、寝顔を見ながら、想像する。

彼の頰の肉、どれだけ柔らかいか。

腕の筋肉、噛んだらどんな食感か。

心臓の鼓動、舌の上で感じたら、どんな味か。


食べたい、食べたい、食べたい、食べたい、

食べたい、食べたい、食べたい、食べたい、

食べたい、食べたい、食べたい、食べたい、

食べたい、食べたい、食べたい、食べたい、

食べたい、食べたい、食べたい、食べたい、

食べたい、食べたい、食べたい、食べたい、

食べたい、食べたい、食べたい、食べたい、

食べたい、食べたい、食べたい、食べたい、

食べたい、食べたい、食べたい、食べたい、

食べたい、食べたい、食べたい、食べたい、

食べたい、食べたい、食べたい、食べたい、

食べたい、食べたい、食べたい、食べたい、

食べたい、食べたい、食べたい、食べたい、

食べたい、食べたい、食べたい、食べたい、

食べたい、食べたい、食べたい、食べたい、

食べたい、食べたい、食べたい、食べたい、

食べたい、食べたい、食べたい、食べたい、

食べたい、食べたい、食べたい、食べたい、

食べたい、食べたい、食べたい、食べたい、

食べたい、食べたい、食べたい、食べたい、

食べたい、食べたい、食べたい、食べたい、

食べたい、食べたい、食べたい、食べたい、

食べたい、食べたい、食べたい、食べたい、

食べたい、食べたい、食べたい、食べたい、

食べたい、食べたい、食べたい、食べたい、

食べたい、食べたい、食べたい、食べたい、

食べたい、食べたい、食べたい、食べたい、

食べたい、食べたい、食べたい、食べたい、

食べたい、食べたい、食べたい、食べたい、

食べたい、食べたい、食べたい、食べたい、

食べて…しまいたい♡


ある夜、キッチンで。

彼が背を向けて、野菜を切っている。

私はそっと近づいて、包丁を握った。

「アヤカ? どうした?」

振り向いた彼の首に、刃を滑らせる。


ずぶり。

血が噴き出して、キッチンの床に広がる。

彼の瞳が、驚きで大きく見開かれる。

「……な、んで……先に…」

私は彼の体を抱きしめた。

まだ温かい。

胸の鼓動が、どくん、どくん、弱くなっていく。

「ごめんね……でも、知りたかったの。×××君の味を」

まずは頰。

包丁で薄くスライスして、口に運ぶ。


んっ……♡

甘い。

塩気と、鉄の味が混ざって、涙が出るほど美味しい。

次に舌。

口を開かせて、根元から切り取る。

ぷるんとしたピンクの舌を、噛まずに転がす。


彼の言葉の味。

優しい、甘酸っぱい。

胸を開く。

肋骨を一本ずつ、包丁で折る。

ぱきん、ぱきん。

心臓を取り出して、両手で包む。

まだ、微かに脈打っている。

一口、かじる。


どくん。

最後の鼓動が、舌の上で震える。

濃厚な旨味。

愛の味。

私は泣きながら、笑いながら、彼の体を解体した。

腕の筋肉は、弾力あってジューシー。

太ももの脂肪は、とろけるように甘い。

内臓は、苦味がアクセント。

全部、全部、味わった。

キッチンは血だらけ。

でも、幸せだった。

彼の全部を、私の中に取り込んだ。

究極の愛。


翌朝、警察が来た。

近所の人が、悲鳴を聞いたって。

私は鉄格子越しに、灰色の壁を見る日々。

裁判で、みんなが私を「狂ってる」って言った。

「殺人鬼」って。

でも、私はただ、愛しただけ。

死刑の執行日。

冷たい部屋に、連れていかれる。

首に縄がかけられる。

看守の目が、冷たい。

「何か、最後に言うことあるか?」

私はにっこり笑った。


「……美味しかったよ」

縄が締まる。


ぐきん。

頸椎が折れる音。

息が詰まる。

視界が暗くなる。

痛みと、恍惚。

最後に、思い浮かんだのは、彼の味。

温かくて、甘くて、永遠の味。

それが、私のアヤカの、最後だった。

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