第7話 空に響く音
オリジ国 レンたちが住んでいる国
ジャスティ国 隣にある国
両国はたびたび小競り合いを繰り返してきた。
戦力で劣るオリジ国はテロやゲリラ。ジャスティ国は最新装備でそれを押さえつける。
「え、やばくない?これ……」
誰かの声が教室に落ちた。続けて、ざわめき。机の上で一斉に光るスマホ画面。
俺のスマホにも、同じ通知が表示されていた。
> 【速報】ジャスティ国・観光地にて爆発 複数の負傷者 オリジ国過激派の関与の可能性
この学校からもそう遠くない街の名前がニュースに書かれていて、実感が遠のく。
「これ、戦争ってことですか……?」
クラスメイトのひとりが、ぽつりとつぶやいた。
先生は黒板の前で無言のまま、やがて静かに言った。
「……可能性はあります。近いうちに、ジャスティ国から報復の爆撃があるかもしれません」
重い沈黙が教室を包んだ。
普段なら誰かが茶化して空気を変えるはずだった。でも、今日は違う。誰もスマホを伏せようとしない。画面の向こうで起きていることが、すぐそばにあるようだった。
帰宅後。
リビングではアイリがアニメを観ながらクッションに埋もれていた。俺の姿を見て「おかえりー」と言い、ポップコーンを勧めてくる。
俺は無言で隣に座り、その小さな手からひとつつまむ。
「戦争ってさ、どうして起きるの?」
唐突に、アイリが言った。
「うーん……誰かが、正しさを押しつけるとき、かな」
「ふーん。でもさ、爆発するのは誰が正しいとか関係ないよね。どっちも痛いだけじゃん」
アイリの素朴な言葉に、俺は何も言えなかった。
(この平和な時間が……永遠に続けばいいのに)
心の中で、強くそう思った。
そのとき――
ズン……
低い振動が窓ガラスを揺らした。次の瞬間、空から響く轟音。
俺とアイリは顔を見合わせた。
世界が、動き始めていた。




