第14話 刻印
復習
オリジ国 レン達が住む国。武力では劣る。テロ組織がジャスティ国のリゾートを襲撃した。
ジャスティ国 テロの復讐としてオリジ国を爆撃した。
焦げた匂いが鼻を突く。瓦礫の山を踏みしめるたび、足元のガラス片や木片がカリカリと音を立てる。俺は、自宅周辺の光景をゆっくり確認した。焼け残った壁の一部、曲がった門扉、そして瓦礫の間にうっすらと残る妹の影——かつてアイリが座っていたであろう場所を探す。
「……ここだった気がする」
つぶやく俺。ノノカが俺の肩に手を置いた。
「レン君、まずは冷静に。感情に支配されないで」
その時、数人の武装した男たちが瓦礫の向こうから姿を現した。オリジ国の武装集団か。俺を一瞬で見つけ、観察の目を光らせる。
こいつらがテロを起こしたことでこんなことになってしまった。俺の胸に、怒りと悲しみが波のように押し寄せた。
無意識に拳を振り上げ、殴りかかろうとした時。
「レン君、やめて!」
ノノカが力強く俺の腕を掴む。
「ここで暴力に走ったら、妹さんのことも、真相を知ることもできない!」
俺は息を吐き、胸の奥にある荒ぶる感情を必死に押さえ込む。怒りの熱が血管を巡り、頭の中の景色が赤く染まりかける——しかしノノカの声が、冷静さを取り戻す道しるべとなった。
「この家に、妹がいたんだ」
俺は低くつぶやく。
「爆撃でどうなったか、知っていることはないか?」
武装集団の一人が銃を降ろし、ゆっくりと近づいてきた。目を伏せ、重い沈黙。
「……すまない同胞。俺たちにもわからない」
そのとき、胸の奥に小さな光が灯った。魔法の感覚だ。アナザーとの戦いで失った力。わずかだけれどもそれがまた戻ってきた。
俺の視線は男が手に持つ銃に向かった。表面の刻印——生産国や製造番号——が削り取られ、光を反射してちらちらと揺れている。なぜ削られている。何か気になる。俺は眉をひそめ、指先に魔力を集中させる。
微かな光が銃表面を撫でると、消されていた文字がゆっくり浮かび上がった。
Made in PEASE
魔法に驚き目を見開く武装集団。
俺は息を呑んだ。ピース国製…?
海の向こうの大国。世界連盟を作り、世界の紛争を減らそうと努力している国。なぜ、ピース国の武器がこの国に…?
ノノカがそっと俺の肩に手を置き、目を見つめてきた。
「真相はもっと深いはず。焦らず、順番に突き止めようよ」
俺は拳を握りしめた。怒り、困惑、悲しみ——全ての感情が渦巻く中で、確かな決意が胸に芽生える。
「……必ず、真実を突き止める」
瓦礫の間に沈む夕日が、俺たちの影を長く引き延ばす。荒廃した街の向こうに、まだ見ぬ希望の光が微かに揺れていた。俺とノノカは、互いの存在を確かめながら、静かに歩みを進めていった。




