表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/21

第14話 刻印

復習


オリジ国 レン達が住む国。武力では劣る。テロ組織がジャスティ国のリゾートを襲撃した。

ジャスティ国 テロの復讐としてオリジ国を爆撃した。

 焦げた匂いが鼻を突く。瓦礫の山を踏みしめるたび、足元のガラス片や木片がカリカリと音を立てる。俺は、自宅周辺の光景をゆっくり確認した。焼け残った壁の一部、曲がった門扉、そして瓦礫の間にうっすらと残る妹の影——かつてアイリが座っていたであろう場所を探す。


「……ここだった気がする」

 つぶやく俺。ノノカが俺の肩に手を置いた。

「レン君、まずは冷静に。感情に支配されないで」


 その時、数人の武装した男たちが瓦礫の向こうから姿を現した。オリジ国の武装集団か。俺を一瞬で見つけ、観察の目を光らせる。

 こいつらがテロを起こしたことでこんなことになってしまった。俺の胸に、怒りと悲しみが波のように押し寄せた。


 無意識に拳を振り上げ、殴りかかろうとした時。

「レン君、やめて!」

 ノノカが力強く俺の腕を掴む。

「ここで暴力に走ったら、妹さんのことも、真相を知ることもできない!」


 俺は息を吐き、胸の奥にある荒ぶる感情を必死に押さえ込む。怒りの熱が血管を巡り、頭の中の景色が赤く染まりかける——しかしノノカの声が、冷静さを取り戻す道しるべとなった。


「この家に、妹がいたんだ」

 俺は低くつぶやく。

「爆撃でどうなったか、知っていることはないか?」


 武装集団の一人が銃を降ろし、ゆっくりと近づいてきた。目を伏せ、重い沈黙。

「……すまない同胞。俺たちにもわからない」


 そのとき、胸の奥に小さな光が灯った。魔法の感覚だ。アナザーとの戦いで失った力。わずかだけれどもそれがまた戻ってきた。


 俺の視線は男が手に持つ銃に向かった。表面の刻印——生産国や製造番号——が削り取られ、光を反射してちらちらと揺れている。なぜ削られている。何か気になる。俺は眉をひそめ、指先に魔力を集中させる。


 微かな光が銃表面を撫でると、消されていた文字がゆっくり浮かび上がった。


Made in PEASE


 魔法に驚き目を見開く武装集団。

 俺は息を呑んだ。ピース国製…?

 海の向こうの大国。世界連盟を作り、世界の紛争を減らそうと努力している国。なぜ、ピース国の武器がこの国に…?


 ノノカがそっと俺の肩に手を置き、目を見つめてきた。

「真相はもっと深いはず。焦らず、順番に突き止めようよ」


 俺は拳を握りしめた。怒り、困惑、悲しみ——全ての感情が渦巻く中で、確かな決意が胸に芽生える。

「……必ず、真実を突き止める」


 瓦礫の間に沈む夕日が、俺たちの影を長く引き延ばす。荒廃した街の向こうに、まだ見ぬ希望の光が微かに揺れていた。俺とノノカは、互いの存在を確かめながら、静かに歩みを進めていった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ