3 秘密の毎月恒例行事
ロイは毎月1回は教会を訪れている。
日曜礼拝は大勢が集まるので行かない。
教会行事の行われる日は、忙しいので行かない。
教育日と呼ばれる子供たちを対象とした読み書き教室が開かれる日も行かない。
教会は治療院も兼ねており、年中無休。
教会が忙しくない日は、開拓都市においてはあまり無いのだ。
しかしロイは知っている。
教会が暇な日と時間を。
1人で街の散歩を許された日から、毎日、教会の前を通るところから、暇な日の予想的中確率は上がっており、今ではほぼ100%なのだ。
礼拝堂の最前列に座り、休憩終わりと立ち上がった教会長はロイの気配を察知する。
「おや?ロイ様。今月も私の暇の落ち着きを察知なさいましたか」
「教会長。また秘密のアレをお願い出来ますか?」
ロイの言う秘密のアレとは、職業スキル聖職者の持つ固有スキル、確認、を行って貰うことだ。
本来は、成人した者を対象にしている教会の行為だが、ロイは市民の評判も良い。それに開拓都市長の息子と言うこともあり、教会長は秘密に行ってくれているのだ。
「では、こちらに」
教会長は執務室にロイを招き、会談用の対面のソファに座る。
ロイも反対側に座る。
「汝の置かれし、状況を表したまえ。確認」
教会長の前に、文字が掛かれた半透明のプレートが出現する。
教会長は手を振り、反転させ、ロイに見える様にする。
名前 ロイ・ミラード
分類 人間属人間種
年齢 7歳
状態 興奮
適性 (未発達)
職業 (未発現)
HP 12
MP 7
持久 10
物攻 3
魔攻 13
物防 3
魔防 12
知力 55
速度 6
幸運 48
選択職業
(未発現)
スキル
「速読」8「読解」10「高速読解」5「高速思考」1
「おぉ!知力と幸運が上がってる!しかも、「高速思考」かぁ。最近頭の回転がスムーズなのはこれを得たからなのかな?」
「ロイ様は相変わらず、大人顔負けですな。知力などは最早職業スキル「初等教師」並みですし、市民からの人望や期待から高い幸運値なのも頷けます。しかし、年頃なのですからもう少し遊びの運動もしてはいかがでしょうか」
HP 生命力。ダメージを受け、0になると死亡。自然回復。
MP 精神力。魔法を使うと減少。自然回復。
持久 体力。行動によって減少。負荷に応じて減少量が増加。自然回復。
物攻 物理攻撃力。上昇すると、殴る、蹴る、武器による攻撃力の上昇。持久影響。
物防 物理防御力。上昇すると、殴る、蹴る、武器による攻撃を受けた際のダメージ減少。持久影響。
魔攻 魔法攻撃力。上昇すると、習得魔法攻撃力が上昇。知力影響。
魔防 魔法防御力。上昇すると、魔法による攻撃を受けた際のダメージ減少。知力影響。
知力 頭脳力。上昇すると魔攻、魔防に影響。
速度 反射神経。動体視力。上昇すると行動速度、攻撃速度に影響。
幸運 他者からの尊敬や期待から上昇。値に応じて自身が幸運に導かれる。
「速読」
文字を読む速度が速くなる。
「読解」
読んだことの理解が進む。
「高速読解」
読んだことの理解が速くなる。
「高速思考」
物事の分析思考時間が速くなる。
ロイはこうして定期的に自身のステータスを確認しに、教会を訪れている。
「ありがとうございました。また来月来ます」
ロイは頭を下げ、礼を述べる。
本来は寄付無しで行われる行為だが、本来は年齢的に受けられない行為であり、教会長の善意なので、ロイは執務室出口に置かれた寄付箱に銀貨1枚を入れるのだった。