【第二部】最終話『禅コウヤ』
サン・ライアット帝国《ハイデルベルク城外》《聖教会》
ウボ=サスラとの戦いから数ヶ月後 サン・ライアット帝国第15代皇帝カイゼル・サン・ライアットと分家の始祖アリヤ・クレセントの結婚の儀が行われていた この結婚の儀には近隣の王達や他国の有力貴族達も顔を揃えている
大司教「いま此処にサン・ライアット帝国の《太陽》と《月》が一つとなり本当に喜ばしい限りです!」
《聖教会》の大司教が“にこやかな顔”で祝辞を述べていた
この言葉を受けたカイゼルとアリヤはかなり緊張した顔をしている
アリヤ・クレセント「本当に良いのかお前は?」
アリヤはかなり強張った顔でカイゼルに問うが
カイゼル・サン・ライアット「何か成り行き上こうなった感があるが…相手が師匠なら良いかな」
カイゼルは何か流された感は分かっていたが相手がアリヤなら別に問題ないと答える
アリヤ・クレセント「お前が納得してるなら問題ないが…後これから先は“師匠”ではなく“アリヤ”と呼べ
良いな!」
カイゼル・サン・ライアット「え?はい…アリヤ様」
アリヤ・クレセント「“様”はいらない アリヤだけで良い」
カイゼル・サン・ライアット「じゃあ…アリヤさん!」
アリヤ・クレセント「それも違うだろうが!お前は…」
この二人のやり取りを見ていた七剣人のレミー・マンデンとジュリー・ドービニーは
レミー・マンデン「アリヤ様が好きになる奴って“変な奴”ばかりだけど大丈夫かよ 後ケニヒスの時みたいに逃げたりしないか心配だな…」
ジュリー・ドービニー「大丈夫じゃないかな?カイゼル様って案外“小心者”だから逃げる勇気は無いんじゃない 後はアリヤ様が上手くコントロールしそうだしね」
ケニヒス・ティガード「お前達も早く何処かで良い男達を見つけるべきだな」
ケニヒスのその言葉に二人は
レミー・マンデン ジュリー・ドービニー「一番最初に逃げた奴に言われたくない!!!」
他の七剣人達からもケニヒスは弄られていた
そしてこの結婚の儀にはタリア共和国の全権将軍ユリウス・マクシミアンと《最強戦力》たるマーベリック・シュトルムも来ていた そして
ミリア・サン・ライアット「叔父上様にアリヤ様 ご結婚おめでとうございます!私は今はタリア共和国でサレンと二人で楽しく暮らしてまして」
サレン・マーカス「今…私はミリア様の身の回りの世話とマーベリック様から厳しいながらも稽古を付けて貰い念願の“マスタークラス”を取る事が出来ました!」
カイゼル・サン・ライアット「良かったなサレン! しかしお前たち二人がタリア共和国で暮らしてたとは知らなかったな それに大丈夫か色々と…」
ユリウス・マクシミアン「このお二人の事なら“賓客”として我が国が責任を持ってお守りいたしますので御安心して下さい」
ユリウス・マクシミアンの言葉にカイゼルは
カイゼル・サン・ライアットの内心「要は“人質”だろう…弟ルインやセレーズを殺ったのは“コイツ”だ 何れタリア共和国は取らせて貰うから覚悟しとけ」
マーベリック・シュトルム「心配はいらんぞ ミリアとサレンに何かあった場合はユリウスの素っ首は俺が斬り落とすからな」
マーベリックの腰には“炎聖剣プロメテウス”から進化した《倶利伽羅龍王剣》が
ユリウス・マクシミアン「マーベリック様…何も有りませんから 余り恐ろしい事は言わないで下さいね」
ユリウスはマーベリックの言葉に本気で冷や汗をかいていた
アリヤ・クレセント「凄い…エンリル師匠と匹敵する程の《力》を感じる…タリア共和国と戦う時が来たら この男に勝てるか カイゼル?」
カイゼル・サン・ライアット「今やり合えば負けるかもな…しかしまだこんな奴がいるんだな」
カイゼルはマーベリックの《力》に《冷たき炎》クトゥグアと同じ物を感じていた
そしてダーナ神王国からの来客が…他国の王達から緊張が走る
ダーナ神王国は宗教国家ブランカを滅ぼした為に今やもっとも恐れられる国になっていたからだ
エンリル・ノーサ・ルドラ「久しぶりだな アリヤ
お前の兄アーリバルの最後は見届けていたぞ そして…お前には風を司るギア・オリジン《那由多》と名乗った方が良いかな?カイゼル・サン・ライアット」
アリヤ・クレセント「エンリル師匠…まさかダーナ神王国にいらしたんですか…」
アリヤはエンリルに駆け寄り そしてカイゼルは思い出していた 毒を司るギア・オリジン《八岐》との戦いを
カイゼル・サン・ライアット「それが本来の姿なのか那由…イヤ…エンリル・ノーサ・ルドラ!」
そしてカイゼルも駆け寄り三人は其々手を取り合う
場面展開 ダーナ神王国《ヌアザ城外》
ダーナ神王国ではギア・オリジン《天魔波旬》と《獅飛》をマルセラ・エンゲルマンの手で地下に封印する事に決めた
ラーヴァナ「もはや“これからの時代”には不要になるからな…仕方がない」
フェイ・ロン「せっかく作った“最高傑作”なのに地下に封印か…また“クトゥルフの連中”が来たらどうする気だマルセラ?」
マルセラ・エンゲルマン「エンリルが言うには“クトゥルフの連中”は“海底都市ルルイエ”で暮らすからもう“人間達の争い”には干渉しないってさ」
ゴッドフリー・トゥヘル「ラーヴァナ国王陛下 これからの戦いに“ARMEDギア”も“ギア・オリジン”も不要…我々は騎馬を駆ってでも戦いましょうぞ!」
そして親衛騎士団団長ヨハンネス・リヒテナウアーは
ヨハンネス・リヒテナウアー「我々《ダーク・ミスト》七人が必ずや“世界統一国家”の夢を成し遂げて見せましょう!!!」
ラーヴァナ「うむ…期待してるぞ皆…それからフェイ・ロン お前もこれからは俺の配下になったからな」
フェイ・ロン「結局そうゆう運命なのか僕は…分かったよ」
ラーヴァナはしたり顔で…そしてフェイ・ロンもやれやれと言った感じで そしてマルセラ・エンゲルマンはこの光景を見て喜んでいた
しかし宰相のウィリアムは
ウィリアム・マーシャル「しかし良かったのですか
リータ様やカムロン様がタリア共和国に行かれた事は?」
ラーヴァナ「マーベリックがタリア共和国にいる以上あの二人を止める事は出来んさ」
場面展開 《聖域コノハナ皇国》《宮殿内》
デウス・ケラウノス「アリヤとカイゼルの結婚式を見れなかったのは残念だが…幸せにな そして我々も暫く眠りに付くか…もう一体の《ケラウノス》よ」
《雷霆ケラウノス》は沈黙していたが頭部が少し頷いた
デウス・ケラウノス「しかしウボ=サスラの封印を解けるのは“奴”…釈迦如来ゴータマの『天臨者』禅コウヤしかいない だが奴は“我が妻”に討たれて死んだはず…また再び我々が“戦う時”が来るかも知れんな」
場面展開 サン・ライアット帝国《ハイデルベルク城内》
モントロー・アンドレ公爵「いかん!寝坊してカイゼル様とアリヤ様の“結婚の儀”に遅れた…何たる失態…急がねば!」
しかし途中で七剣人の長であるアキーレ・マロッツォと出会う
モントロー・アンドレ公爵「これはアキーレ様…“結婚の儀”はもう終わったのですか?」
アキーレ・マロッツォ「いえ…私は欠席しました」
そしてすれ違った瞬間アキーレは小声で
アキーレ・マロッツォ「《虚空円月斬》」
腰に差している《刺突妖剣ティソーナ》が僅かに動いた
そして急いでいたモントロー・アンドレは途中で倒れた 死んだ事に気が付かずに背中には《円月の太刀傷》が
アキーレ・マロッツォ「我が愛弟子 木花サクヤよ
お前の56億7000万年の旅は終わったんだな…だが“この私の旅”に終わりはない…この“世界”は本当に面白いからな 再び私が現れた時には戦乱の世になるだろう」
そしてアキーレ・マロッツォは何処かに姿をくらませた。
【第二部完】




