【第二部】第26話『浮上海底都市ルルイエ』
浮上した《海底都市ルルイエ》
海底都市ルルイエはとても美しい姿をした古代都市である かつて邪神達がこの都市に住み地上を支配していたが 何故か“都市”が浮上していた
《那由多ヴァーユ・ハスター》を駆り この都市の上空に到着したエンリルは驚いていた
エンリル・ノーサ・ルドラ「海底都市ルルイエが浮上している…この都市は地上の支配権がクトゥルフの邪神族に移らない限り浮上しないはずだぞ!」
そのまま“海底都市ルルイエ”に機体を降下させ不時着 そして“ルルイエ”の中心部の神殿の前で生気のない男が座り込んでいた
ヨグ=ソトース「どうなっているのやら…本来 この都市が浮上したら我々が地上を支配してるはずなのに全くそんな気配がない…一体何が悪いのかしら?」
ヨグ=ソトースは一人ブツブツ独り言を呟いていた
そんなヨグ=ソトースも眼の前の《那由多ヴァーユ・ハスター》に気がついた そして乗っているのがエンリル=《アザトース》である事にも
ヨグ=ソトース「これは“アザトース”様 それにそのギア・オリジンに融合しているのは“ハスター”よね!」
機体から“ハスター”の意志がヨグ=ソトースに語りかける
《黄衣の王ハスター》「ヨグ=ソトース…キサマ《魔皇の権限》を勝手に自分に移行して何をやっている!」
機体から発せられた“ハスター”の怒りの意志をヨグ=ソトースは平然を切り返す
ヨグ=ソトース「へ?…そりゃ“クトゥルフの時代”の復活よ “ハスター” 我々の封印が解かれた以上ソレをやるしか無いでしょう?ですよね“アザトース”様?私を“そう作った”のはアナタですしねぇ…」
そのヨグ=ソトースの言葉にハスターは黙り込む エンリルは少し考えて答えた
エンリル・ノーサ・ルドラ「確かに『前世』の俺はお前達を作った…ソレにそうゆう意志を持たせたのは間違いなく俺だ だが“今”の俺は人間だぞ ヨグ=ソトースよ 今の俺の意志に従う気はないのか?」
ヨグ=ソトース「残念ながら…何故なら今は私の方が強いですから!今のアナタは“所詮は人間”ですしね」
その言葉と同時にヨグ=ソトースは巨大化して異形の邪神へ そしてエンリルが駆る《那由多ヴァーユ・ハスター》と臨戦態勢に入った
エンリル・ノーサ・ルドラ「やはりそう来たか!“ハスター”お前はこの機体の補助を頼む!」
ハスター「仰せのままに…“我が王”よ 私は機体の補助機能になりましょう」
そしてハスターは沈黙してヨグ=ソトースとの戦いの補助に回る
ヨグ=ソトース「流石はハスター…相変わらず忠実だわ 私はそう簡単じゃ無いのよね!」
ヨグ=ソトースは《那由多ヴァーユ・ハスター》に自らの特殊能力“緩やかなる時刻”を掛ける
《那由多ヴァーユ・ハスター》の時間感覚が鈍り 手にした“神剣ハバキリ”での攻撃が簡単に躱された
エンリル・ノーサ・ルドラ「時間感覚がオカシイ…
このヨグ=ソトースの能力は地味に厄介だ…」
そしてヨグ=ソトースは右腕を“剣”に形状変化させて
《那由多ヴァーユ・ハスター》に一撃を加えた
そのダメージで機体は一旦倒れそうになった
ヨグ=ソトース「私は“素”でも普通に強い 何せ“クトゥルフの副王”ですからね…そして対人戦闘用の“緩やかなる時刻”で相手の時間感覚を鈍らせる 完璧でしょう私は!!」
ヨグ=ソトースは誇らしげに語る
エンリル・ノーサ・ルドラ「ああ…相変わらず見事だ
ヨグ=ソトース だが“お前をそう作った”のは一体誰だ!」
エンリルはコクピットからヨグ=ソトース自身に何かを掛けた そして時間感覚は元に戻り“神剣ハバキリ”でヨグ=ソトースを簡単に斬りつける
ヨグ=ソトース「馬鹿な…何故私の能力が解除されたの?」
エンリルノーサ・ルドラ「違うな…俺自身もお前に“緩やかなる時刻”を掛けた これでお互いの時間感覚は同じになった!そして決着を付けるぞ!全ての神翼よ ヨグ=ソトースを取り囲め!!!」
《那由多ヴァーユ・ハスター》の背中に配備された12枚の“神翼”は全て分離して一瞬で光速回転に入った そして分離した羽には“ハスター”の能力である“凍れる風”が付加されている
ヨグ=ソトース「な…これはハスターの“凍れる風”…不味い…身体が凍てついて動けない!」
ヨグ=ソトースはかなり動揺している
エンリル・ノーサ・ルドラ「凍結斬刃コールド・シュレッダー!」
羽が光速回転でヨグ=ソトースを斬り刻み凍てついた身体を砕いていく そして更に
エンリル・ノーサ・ルドラ「俺に刃向かった以上 この程度で済むと思うな《惑星消滅コズミック・スターバースト》!!!」
ヨグ=ソトースの凍てついた身体を斬り刻んだ羽は更に光速回転を超えて惑星の様な球体となり内部のヨグ=ソトースを完全に封じ込めた
エンリル・ノーサ・ルドラ「その“惑星球”は内部のあらゆる存在を『無』に帰す…ヨグ=ソトースよ 問うぞ 服從か死かどちらか選べ!」
ヨグ=ソトース「・・・・・服從を選びます…アザトー…いえエンリル様!」
エンリル・ノーサ・ルドラ「少し考えたな…その惑星球はもうすぐ球体ごと内部を『無』に帰す…自力で抜け出してみろ ヨグ=ソトース!」
エンリルは『前世』だった時代の“アザトース”の様な冷酷な笑みを浮かべて言い放った その後“惑星球”は消滅して全てが『無』に帰ったかに見えたがヨグ=ソトースの“精神体”だけが辛うじて抜け出していた
精神体ヨグ=ソトース「肉体が完全に復活するまで五十年は掛かりそうだわ…もう二度と逆らおう等と考えたりしませんからお許し下さい!」
補助機能ハスター「最初から喧嘩を売る相手を間違えてるからそうなるんだ…相変わらず何処かズレてるなオマエは…」
精神体ヨグ=ソトース「間違い次いでに言っておきますが…実はサン・ライアット帝国には私が作ったギア・オリジン『テュポエウス』を送り出していて…『器』には初代皇帝の魂を…そして《森の黒山羊》シュブ=ニグラスを憑依させた特別製の奴を…」
エンリル・ノーサ・ルドラ「オマエは何処まで…呆れて物が言えんな…仕方がない サン・ライアット帝国に向かう!」
しかしある存在の思念がエンリルに
デウス・ケラウノス「それなら私が何とかしよう アザトースよ 我が息子の魂を救わねばならん!」




