【第二部】第15話『皇帝と女王』
ダーナ神王国 ヌアザ城 《天守閣》
エンリル・ノーサ・ルドラはヌアザ城の天守閣へ到着した そこで待っていたのはダーナ神王国 国王ラーヴァナと見知らぬ二人の男女だった 男は巨漢でイカツイ顔をしていたが女の方は妖艶な美女で手には妖しい大鎌を持っていた
エンリル・ノーサ・ルドラ「ラーヴァナ 一体何の様だ それにその二人は何者だ?」
ラーヴァナ「来たかエンリル! 紹介しよう 四代目グランドマスター『剣闘士皇帝』エルランド・ザナウォエル そして五代目グランドマスター『戦場を駆ける女王』ヘレーナ・ザナウォエルだ!」
その二人の名前にエンリルは心当たりがあった
エンリル・ノーサ・ルドラ「確か今は亡きザナウォエル帝国の皇帝と女王だな 夫婦でグランドマスタークラスを取得して各地を暴れまわった傑物たちと聞いているが」
そしてヘレーナがエンリルに
ヘレーナ・ザナウォエル「お初にお目にかかります
下での戦いをモニターで見物されて頂きました 流石は初代グランドマスター・エンリル様 あのヨハンネス団長達三人を相手に勝てる存在がいるとは正直驚きましたわ」
ヘレーネは笑っていた そして夫のエルランドは
エルランド・ザナウォエル「正直人の力とは思えん戦いっぷり イヤ『人』では有りませんでしたなぁ」
エルランドも豪快に笑っていた
エンリルの内心「あの戦いを見てもその余裕…この二人只者ではないな」
ラーヴァナ「この二人の細胞は荒覇吐のお婆様が持っていてな ちょうどティガルドの地に用が有って帰りの土産に貰って来たわ」
エンリル・ノーサ・ルドラ「そしてクローン再生技術で蘇らせたのか」
エンリルは厳しい表情をラーヴァナに向ける
ラーヴァナ「まあそんなに怖い顔をするな ケニヒスをお前が何処かに飛ばしたのはウィリアムから聞いている その補充に この二人が必要になった これで『ダーク・ミスト』も七人になる サン・ライアット帝国の七剣人に対抗する為には仕方がない」
ラーヴァナが事情を説明した
エンリル・ノーサ・ルドラ「ケニヒス・ティガードの件をウィリアムは見抜いてたのか…やはり油断ならんなアイツは」
そしてヘレーナとエルランドはエンリルに一礼して
天守閣から降りる
エンリル・ノーサ・ルドラ「あの【魔導士】確かヨハンネスとか言ったな…アイツは何者だ 危うく死にかけたぞ」
エンリルがラーヴァナにヨハンネスの事を問う
ラーヴァナ「奴は900年前『冥府の魔獣タルタロス』を倒した魔導剣士だ 本来なら剣も相当使えるがお前との戦いでは【魔法】しか使わなかったな」
エンリル・ノーサ・ルドラ「それ程の者がいる そしてお前やリータにカムロンにウィリアムまでいてまだ戦力が足らないのか?」
ラーヴァナ「足らんな…全然足りない…俺は念には念を入れる 要するに臆病なんだよ俺は」
ラーヴァナは高笑いしながら言い放つ
ラーヴァナ「ティガルドの森で荒覇吐のお婆様にブランカ消滅の件を相当怒られたよ だが久しぶりに会いに来て喜んでもくれた 薄情な獅飛の奴とは違う…イヤ「受肉者」としての名前はフェイ・ロンだったな」
エンリル・ノーサ・ルドラ「あれだけの事をした お前を怒るだけなのか 荒覇吐のお婆様は…あの人も相当狂ってるな…それに俺から言わせればフェイ・ロンとお前は似た者同士だ 奴も初代教皇時代から裏から操り自分は影に隠れていた臆病者だ!」
エンリルのその言葉に表情が一変したラーヴァナは
『天之尾羽張剣』を抜こうとしたがその瞬間『時間』が凍りついた
そして世界が停止した
エンリル・ノーサ・ルドラ「これは…こんな真似が出来るのは奴しかいない しかし奴は…イヤ奴等は今だに封印されているはずだぞ?」
しかしエンリルのすぐ近くに怪しい風貌の男が傅いていた その眼に生気はなくエンリルを見据えている
ヨグ=ソトース「海底都市ルルイエの封印は解かれました 我らクトゥルフの魔皇『アザトース』様」
エンリルはその男を見て
エンリル・ノーサ・ルドラ「やはりお前か…ヨグ=ソトース そしてその名で俺を呼ぶな! その神性の名は『前世』の物だぞ!」
エンリルと謎の妖しき男…その関係とは?




