【第二部】第14話『三対一』(後編)
ダーナ神王国 ヌアザ城 《闘技場》
ヨハンネスの【五大元素魔法アトミック・ファイブ・ディザスター】の魔導砲に吹き飛ばされ 剣は完全に消滅してエンリル本人も気を失い失神していたが…
ヨハンネス・リヒテナウアー「勝ったぞ!最強の『受肉者』と言われたエリンル・ノーサ・ルドラに!」
イリリオ・モパティス「ヨハンネスよ…お前の【魔法】は何でもありだな」
メルヴェイユ・オラシオ「なんだかねぇ…アンタのせいで私の見せ場を取られたわよ…」
イリリオとメルヴェイユはヨハンネスの力に感心していたが同時に何でもありの【魔法】に少し引いていた
エンリル・ノーサ・ルドラ「成る程な…まさか【魔導士】が今だに存在していたとは驚いたぞ」
失神状態だったエンリルは『闘気』を自らの回復に回して立ち上がろうとする
ヨハンネス・リヒテナウアー「まさか…アレを喰らって立ち上がれるのか 一体どれだけの『闘気』を持っているんだ」
エンリルは『闘気』による回復で殆ど肉体の損傷が完治した そして立ち上がり虚空から何かを取り出す
エンリル・ノーサ・ルドラ「久しぶりに使うな この素戔嗚の『神剣ハバキリ』は!」
この剣こそ旧世界の神話において素戔嗚が八岐の大蛇退治に持ちいた天羽々斬剣の新形態だった
エンリルは神剣ハバキリを構えて三人の周囲に赤黒い熱風を巻き起こす
ヨハンネス・リヒテナウアー「一体なんだ?ケニヒスに使った技とは全然違う…」
赤黒い熱風はやがて光速回転を始め三人を包み込み
赤熱の球体になる
ヨハンネス・リヒテナウアー「【結界魔法オール・シェルター】しかし何時まで耐えられるか…」
ヨハンネスは危機を感じて自らとメルヴェイユやイリリオ三人を【結界魔法】で赤熱の球体から守った
エンリル・ノーサ・ルドラ「《恒星爆発テンペスト・スターバースト》……俺に“奥の手”を使わせたのは褒めてやろう しかし少しやり過ぎたな」
エンリルは本気で怒っていた
【結界魔法オール・シェルター】が徐々に破壊されて行き三人は凄まじい熱量に身体を焼かれだす
それを見たエンリルは振り返りそのまま闘技場から帰ろうとする
やがて赤熱球の内部が爆発して中の三人は霧散したかに見えたが何故かリュドミラやジークムントのいる所まで飛ばされていた
一人の老人が帰ろうとしたエンリルの前に現れた その老人こそダーナ神王国宰相にして二代目グランドマスター『最強の騎士』と呼ばれたウィリアム・マーシャルである
ウィリアム・マーシャル「エンリル先生 あの技は禁じ手のはず それにヨハンネス達は私の大事な部下達でしてな 殺す様な物騒な真似は止めて頂きたい」
エンリル・ノーサ・ルドラ「・・・そういえばお前とは この国に来てから喋るのは初めてだな しかし三人に【空間転移法】を掛けて外に飛ばすとは俺にも出来んぞ」
エンリルは最初の弟子であるウィリアム・マーシャルの底知れない実力に驚いていた
エンリル・ノーサ・ルドラ「で…一体何の様だ? お前からわざわざ出向いて来るとは」
ウィリアム・マーシャル「エンリル先生と昔話をしたいと言いたい所ですがラーヴァナ国王陛下が城の天守閣でお待ちです 何か話したい事があるとか」
エンリル・ノーサ・ルドラ「ラーヴァナが…分かった城の天守閣だな」
エンリルはウィリアムを横切り城の天守閣まで向かう
そしてウィリアム・マーシャルは『ダーク・ミスト』の団員達の元へ駆け寄った
ウィリアム・マーシャル「大丈夫かお前たち」
リュドミラ・イグリット「ウィリアム様…ヨハンネス達が大変なの 私の勁功術では回復が間に合わない…」
ジークムント・リングエック「私は剣しか知らないので回復の術は全くでして…」
リュドミラとジークムントは慌てていた
ウィリアム・マーシャル「仕方がない…二人共下がりなさい 全体回復勁功術『発命』!」
ウィリアムの『発命』で三人の火傷が治癒していく
そしてヨハンネスとイリリオとメルヴェイユは目を覚ました
ヨハンネス・リヒテナウアー「これはウィリアム宰相自らとは…申し訳ない次第です」
ウィリアム・マーシャル「だからあのエンリル・ノーサ・ルドラとは戦うなと言ったのに…あの人は規格外の強さ故に歴史上から経歴を抹消されたのだぞ」
ウィリアムは五人に小声を言い始めた
リュドミラ・イグリット「うわ〜お爺ちゃんの長話がまた始まったよ 私は帰るね」
リュドミラは逃げる様に自宅に帰った。
ちょっと疲れました、次の更新日は来週火曜日に行いたいと思います。




