【第二部】第11話『新たな皇帝選出』
サン・ライアット帝国 《城内》
先帝レオンに続き現皇帝ルインそして王妃セレーズまで亡くなる不測の事態に帝国内では大騒動になっていた
帝国貴族達でも一番影響力を持つモントロー・アンドレ公爵は
既に七剣人の長であるアキーレ・マロッツォに接触を行っていた
モントロー・アンドレ公爵「アキーレ様 先帝様にルイン様やセレーズ様まで亡くなって我々帝国貴族や帝国民達は混乱しております 早く次の皇帝選出を行わないと大変な事になりますぞ」
アキーレ・マロッツォ「ですがモントロー公爵 五大将軍を失い 我々七剣人はこれから前線で戦う事になり政治に口を挟む事は余り無くなるでしょう 皇帝選出については分家の始祖に当たるアリヤ様が一番適任に思えますがアリヤ様自身は断るでしょうね」
アキーレはアリヤが皇帝位につくのは断るだろうと見越している そしてアリヤ自身が誰を推挙したいかも分かっていた
アキーレ・マロッツォ「さて…どうなる事やら」
レオンにルインやセレーズ等の遺影が飾られた盛大な葬儀が再び行われていた 帝国民達は立て続けの死に これからどうなるのか不安を抱えている
七剣人のレミー・マンデンはこの状況を苦笑いしながら見ていた
レミー・マンデン「レオンはともかくルインやセレーズが亡くなった程度でこんなにオタつく様じゃこの国も先がないかもね」
その言動に新たに加入した七剣人のケニヒス・ティガードは
ケニヒス・ティガード「レミー・マンデン 冗談でもそんな事は言わない方が良いぞ」
しかしレミーは逆にケニヒスに言い返す
レミー・マンデン「黙れケニヒス!出戻りで裏切り者のお前が何で私に説教こいてんだよ お前が逃げたせいでアリヤ様がどれだけ悲しんだか分かるか?」
レミーのその言葉でケニヒスは黙り込んた
その様子を見ていた同じ七剣人のエル・シッドは呆れ顔で言う
エル・シッド「やれやれ…ケニヒス その馬鹿女の言う事は無視して構わんよ」
フィオレ・ディ・リベリ「いい加減にしろ!今は仲間内で喧嘩をしてる場合か!」
フィオレが一喝して皆を黙らせる そして盛大な葬儀が終わり次の皇帝選出の話し合いが行われる事になった
サン・ライアット帝国 次期皇帝選出会議 《円卓の間》
分家の始祖であるアリヤ・クレセントを議長とした
次期皇帝選出会議には七剣人や有力貴族達が顔を揃えていた
アリヤ・クレセント「では会議を始めぞ ルインが亡くなり次期皇帝には誰を選ぶか慎重に決めろ!」
一番先に発言したのはモントロー・アンドレ公爵だった
モントロー・アンドレ公爵「ルイン前皇帝陛下と王妃セレーズ様の間に生まれたミリア様が次の継承権一位になりますが…まだ若く重圧に耐えられるとは到底思えませんが」
その発言にミリア・サン・ライアットを推す帝国貴族達から反論が出たがモントローが人睨みで黙らせた
アリヤ・クレセント「確かに今のミリアでは荷が重いだろうな いくら両親の死に際を見たと言ってもあの取り乱し様ではこの帝国をまとめ上げるのは難しい」
アキーレ・マロッツォ「では継承権二位を持つアリヤ様が継がれるのが一番得策と思いますが 本家が危うい場合は初代皇帝アーリバル様は妹君のアリヤ様に継いで欲しいと生前言われてましたからね」
アキーレの発言に他の七剣人全員が頷いた
権限が強い七剣人全員が同意した以上アリヤが次期皇帝に一番近いがアリヤ本人は
アリヤ・クレセント「お前達が私を推挙してくれるのは嬉しいが私にはその気が無い それに次期皇帝にはやはりアイツしかいないだろう 弟の後に次ぐのは辛いだろうがな」
そのアリヤの発言にモントローが驚きそして嬉しそうにしていた
モントロー・アンドレ「やっと…あの方が皇帝位に…
幼い頃に共に学び誰よりも隣にいた私にはこれ程嬉しい事は有りません…」
モントローは幼い頃カイゼルの取り巻き連中の中でも常に隣にいたカイゼル派閥のトップだった存在でもある
他の帝国貴族達もその発言を聞いて素直に賛同した
僅か8才で剣 槍 武のグランマスタークラスを取得
その初陣で他国から『雷神』と呼ばれる程凄まじい戦果を上げたカイゼル・サン・ライアットの武勇にケチを付ける者は誰も存在しなかった
しかしオペラ歌手にして男装の美少女である七剣人ジュリー・ドービニーが意見を言う
ジュリー・ドービニー「ですがカイゼル様は一度亡くなった扱いで継承権は剥奪されたはずでは?」
アリヤ・クレセント「それなら心配ない 私の継承権二位はアイツにくれてやったからな」
アリヤがあっけらかんと言って他の者達はかなり驚いていたが全員一応納得した
そして…後日教会で新皇帝カイゼル・サン・ライアットの戴冠式が行われる事になった
カイゼルは普段のラフな格好ではなく正装に着替え
て腰には神剣フツヌシを差している
その戴冠式を帝国民の殆どが見に来ていた
戴冠式が無事に終わりカイゼルは帝国民達に対して
カイゼル・サン・ライアット「正直不本意では有るが我が父レオン そして非業の死を遂げた弟ルインの後を継ぎダーナ神王国やタリア共和国と戦う決心を固めた お前達は俺に付いて来い!このサン・ライアット帝国に喧嘩を売った事がどれだけ恐ろしい事か思い知らせてやろう!」
カイゼルの演説に帝国民達から大歓声が沸き起こる
そして後ろから見守っていたアリヤは嬉しそうな顔をしていた。




