【第二部】第9話『仇』
サン・ライアット帝国 《玉座》
玉座に辿りついたユリウス・マクシミアンは現皇帝ルイン・サン・ライアットと対峙する
ルイン・サン・ライアット「ユリウス・マクシミアン貴様何故此処へ 警備のベクター達はどうした?」
ルインは驚愕の表情を浮かべる
ユリウスは久しぶりに全力で戦った為に息が切れていた
ユリウス・マクシミアン「ゼィゼィ…こんな事なら少しは身体を鍛えとくんだったな」
そしてユリウスはルインに対して
ユリウス・マクシミアン「警備のベクター・マーカス以下五大将軍の内 四人には死んで頂きました」
ルイン・サン・ライアット「馬鹿な…連中は百戦錬磨の強者達だぞ 唯の軍略家に過ぎない貴様に何故そんな真似が出来る…」
ユリウス・マクシミアン「まあ…才能と言う奴ですかね 出来れば健康な身体に産まれたかった物ですが」
ユリウスはさらりと言い放つ そして
ユリウス・マクシミアン「今日は両親の命日でしてね 手向けの花にと現皇帝ルイン様と王妃セレーズ様の命を頂きに来ました」
ルイン・サン・ライアット「タリア共和国への二度目の侵攻を恨んでいるのか…アレは私の痛恨のミスだった」
隣には現王妃セレーズも同席していた
セレーズ・サン・ライアット「アレは私がルインを動かして行った事…全ての責任は私に有ります」
セレーズがユリウスに許しを懇願するが
ユリウス・マクシミアン「我が国から取れる鉱物の為に両親や十二万のタリア兵や国民を虐殺してその言い草ですか…やはりアナタ方と同盟を破棄して良かったですよ」
ユリウスの表情が変わり血塗られた魔剣ダインスレイヴをルインに向ける
そしてルインに向けて突き刺そうとするが
セレーズがとっさにルインを庇い覆いかぶさる
それでもユリウスのダインスレイヴはセレーズ諸共串刺しにした
ルイン・サン・ライアット「・・・セレーズ…グハァ!」
ルインは吐血 そしてセレーズは背中から刺され呼吸もなく死んでいた
ユリウス・マクシミアン「やったよ父さん母さん やっと仇を討てたよ」
ルイン・サン・ライアット「ユリウス貴様…良くもセレーズを!」
ルインは動こうとするが更に吐血してそのままセレーズを抱きしめて死に絶えた
ユリウスは二人の死を確認してから懐に持っていた
ダーナ神王国の『漆黒の三つ首竜』の紋章を置いて
そのまま『ウートガルザ・ロキ』に乗り込みタリア共和国に帰還する
帰還途中のユリウスは
ユリウス・マクシミアン「さて…どうなるかな?あんな小細工すぐにバレるだろうが疑心暗鬼にはなるだろう」
そのまま『ウートガルザ・ロキ』はタリア共和国へ向かう
明け方に現皇帝と王妃の遺体を見た娘のミリア・サン・ライアットは半狂乱になっていた
その様子を見たアリヤ・クレセントはミリアの首を手刀で軽く叩き気絶させる
アリヤ・クレセント「ミリアを医務室に運んで眠らせておけ ジュリー頼むぞ」
ジュリー・ドービニー 「分かりました お任せ下さい」
七剣人であるジュリー・ドービニーはミリアを医務室に運ぶ
そしてカイゼル・サン・ライアットも到着して
二人の遺体を見る
カイゼル・サン・ライアット「親父に続いてルインもか…そしてセレーズお前まで」
実の弟とかつての婚約者の死に様を見てカイゼルは静かな怒りを燃やしていた
カイゼル・サン・ライアット「誰の仕業だ?ベクター達四人も殺るなんてグランドマスタークラスでも中々出来はしないぞ」
アリヤ・クレセント「二人の遺体の近くにダーナ神王国の紋章が落ちていたが恐らくは違うな タリア共和国辺りの仕業だろうか」
カイゼル・サン・ライアット「ギルバート・クルスか…イヤ違う あの程度の腕で出来る事じゃない…じゃあ一体誰が…」
その頃ベクター・マーカスの両断された遺体を見た息子サレンは
サレン・マーカス「父さん父さん…いつか強くなって父さんに認めて貰うつもりだったのに…」
サレンは父親の遺体にローブを掛けた そして沈黙する。




