【第二部】第4話『狂風エンリル対虎の王ケニヒス』
ダーナ神王国 《ヌアザ城玉座》
カイゼルとアリヤがコノハナ皇国から帰る同時刻
ケニヒス・ティガードは玉座に座る国王ラーヴァナと話をしていた
ラーヴァナ「ゴッドフリーはブランカのARMEDギア乗りに殺された…お前はそう言っていたな だがな…ARMEDギアでギア・オリジンを倒す事は不可能だ 一体どうゆう事だケニヒス?」
ラーヴァナは怒りより冷めた感じで言った
宰相ウィリアム・マーシャルが側に控えギア・オリジンの『受肉者』リータ・シュトルムとカムロン・ライリーもラーヴァナの両隣でケニヒスを睨んでいた
ケニヒス・ティガード「確かにブランカのARMEDギア乗りとは言いました…ですがゴードフリー様を倒したのは間違いなくARMEDギア乗り…サン・ライアット帝国皇子カイゼル・サン・ライアットの仕業でしょう」
ラーヴァナ「だから何故ブランカのARMEDギア乗りに殺されたと嘘をついたと聞いている 最初からカイゼル・サン・ライアットの仕業だと何故言わなかった?」
ラーヴァナはゴッドフリーを殺された事よりケニヒスに嘘をつかれた事に腹を立てていた
そこへ宰相ウィリアムが話に割って入る
ウィリアム・マーシャル「ケニヒスよ お前がついた嘘でブランカの民は全て死に絶えた…血を流すより服從させた方がダーナ神王国の国益になっていたろうな」
ウィリアムは静かに言い放った
そしてラーヴァナは
ラーヴァナ「残念だ ケニヒス…お前程の強者を失う事になろうとは…何か弁明はないか?」
ケニヒスは何の感情もなく答える
ケニヒス・ティガード「何の弁明も御座いません…処刑は覚悟しております」
リータ・シュトルム「なら私がお前の首を刎ねてやるよ」
カムロン・ライリー「イヤ…待てリータ その役目は俺がやる!」
しかし突然現れたエンリルがそれを止める
エンリル・ノーサ・ルドラ「二人とも止めろ!この男は正式な立ち会いで俺が倒す」
リータはエンリルに何か言おうとしたがエンリルが放つ『闘気』に臆して黙った
カムロン・ライリー「エンリル…お前ラーヴァナ国王陛下の邪魔をする気か?」
しかしエンリルはカムロンを無視してケニヒスを面白そうに見ていた
そしてラーヴァナもこの状況を楽しんでいる
ラーヴァナ「闘技場に『ダーク・ミスト』の連中を呼べ!ケニヒスとエンリルの戦いを許す もしエンリルにケニヒスが勝てば一切の罪は問わない!」
ラーヴァナは楽しそうに叫んだ
ダーナ神王国 《闘技場》
闘技場には親衛騎士団『ダーク・ミスト』のメンバーも顔を揃えていた
『ダーク・ミスト』一の古株 リュドミラ・イグリットは団長であるヨハンネス・リヒテナウアーの腕を掴み泣きそうな顔をしていた
リュドミラ・イグリット「ねぇ…ヨハンネス ケニヒスは負けないよね…」
だがヨハンネスは
ヨハンネス・リヒテナウアー「あの初代グランドマスターにしてギア・オリジンの『受肉者』エンリル様に勝てるのはラーヴァナ国王陛下でも不可能だろうな」
リュドミラの顔は絶望に変わった…
そして二人の立ち会いが始まる
エンリルは風神剣エエカトゥルを鞘から抜いた
そしてケニヒスも太陽剣ブルトガングを抜く
エンリルのエエカトゥルが瞬時に『暴風気』を帯びる
ケニヒスの太陽剣ブルトガングも『闘気』を変換して『陽光気』を纏う
ケニヒス・ティガード「まさかウィリアム宰相やアーリバル…そしてアリヤ様の師であるアナタと戦えるとは もはや思い残す事はない!」
ケニヒスはこの戦いに勝てるとは思っていなかった
そして自分の屋敷の使用人であったシエラやその弟達の事を思い出していた
ケニヒスの内心「シエラに今までの賃金を払いティガルドの地へ返して本当に良かった 三人とも幸せにな」
ケニヒスは左手で神槍『蜻蛉切り』も握り『陽光気』を纏わせ太陽剣ブルトガングと一緒に両手で地面に突き刺す ケニヒスは初撃に全てを込めて自らの最大奥義を繰り出す
ケニヒス・ティガード「陽光気・虎王剣印!」
両手で地面に突き刺した剣と槍から竜巻状の『陽光気』が複数現れエンリルに向かう
それを全てエンリルはマトモに喰らうが しかし
エンリル・ノーサ・ルドラ「それがお前の全力か 中々面白かったぞ」
エンリルは自らの身体に『暴風気』の《防御風》を纏い《陽光気の全ての竜巻》を無効化した
それを見ていたメルヴェイユ・オラシオは
メルヴェイユ・オラシオ「ああ…これは終わったわ あんな化け物に…いえエンリル様に勝てる訳無いじゃない…だから田舎者なのよアンタは…」
しかしメルヴェイユの眼には薄っすら涙が流れていた
エンリル・ノーサ・ルドラ「暴風斬刃テンペスト・シュレッダー!」
エンリルはエエカトゥルから放たれた暴風の刃でケニヒスを切り刻む そして
エンリル・ノーサ・ルドラ「暴風光爆テンペスト・シャインバースト!」
暴風の刃で切り刻みながら更に光速回転を始めた暴風がケニヒスを包み込み光球と化して中のケニヒスは消滅した
イリリオ・モパティス「嘘だろう…あのケニヒスがこんなにあっさり…俺は夢でも見てるのか」
ジークムント・リングエック「これがギア・オリジンの『受肉者』でも最強と言われるエンリル様の力か…」
リュドミラ・イグリットはエンリルに戦いを挑もうとしたがヨハンネス・リヒテナアーから肩を捕まれ止められる
ヨハンネス・リヒテナウアー「よせリュドミラ死ぬぞ」
止められたリュドミラは悔しさで泣きじゃくる
ヨハンネスも左手から血が流れる程拳を握り締めていた
ラーヴァナ「流石だ エンリル 決着は付いたぞ そして処刑もすんだ 俺を裏切ればお前達も何れこうなる!」
ラーヴァナは『ダーク・ミスト』のメンバーに言い放った
リータ・シュトルム「ケニヒス…勿体ない男…あの化け物に勝てるとしたら兄さんくらいしかいないわ」
リータは兄であるマーベリック・シュトルムの事を思い出していた
カムロン・ライリー「まあ順当か…俺達二人掛かりでも勝てる気はせんからな」
しかし宰相のウィリアム・マーシャルだけはエンリルの真意に気付いていた
ウィリアムの内心「成る程そうゆう訳ですか 光球の中で【空間転移法】をケニヒスに掛けて何処かに飛ばした…これなら処刑は回避出来る 流石はエンリル先生だ」
ウィリアムはエンリルを見て微笑んでいた。




