第26話『大帝と雷神の帰還』
サン・ライアット帝国 《ハイデルベルク城内》
玉座で感動の再会を果たしたに見えた現皇帝ルイン・サン・ライアットと先帝レオン・サン・ライアットだったが…
レオンとルインは共に険しい表情で対峙していた
レオン・サン・ライアット「まさか久しぶりの再会がこんな事になるとはな…」
ルイン・サン・ライアット「私も残念です…約40年ぶりの父上との再会がこんな風になるなんて…」
問題はサン・ライアット帝国によるタリア共和国への二度に渡る侵攻に原因が有った
ルイン・サン・ライアット「まさかタリア共和国のその男を連れて来るとは いったい何を吹き込んだユリウス・マクシミアン!?」
タリア共和国の全権将軍ユリウス・マクシミアンもこの城内に来ていた
ユリウス・マクシミアン「私はダーナ神王国の国王ラーヴァナの正体をレオン様にお伝えしたまで それとルイン皇帝陛下の我が国に対しての侵攻の理由を教えたまでですよ」
ユリウスは真顔で言い放つ
レオン・サン・ライアット「セレーズよ お前のくだらない目的の為にわざわざ軍を動かしたのか 失望したぞ…」
現皇帝の王妃たるセレーズに厳しい眼を向けるレオン
セレーズ・サン・ライアット「私はタリア共和国の持つ豊富な資源が…あの鉱山から取れる鉱物からは世界でも有数の宝石が作られるから……」
セレーズはレオンの厳しい視線に狼狽えている
それを間近で見ていたカイゼル・サン・ライアットは面倒くさそうな表情をしていた
カイゼルの内心「何かややこしい事になって来たな しかし俺が眠っていた頃にこんな事が有ったのか…どちらに否があるかと言えばコッチだな」
そしてカイゼルはセレーズへ毒を吐く
カイゼル・サン・ライアット「そういや子供の頃から着飾ったり宝石やら身に付けるのが趣味だったなお前は まあそれは良いとして夫のルインを焚き付けてタリア共和国に戦争を仕掛けた口実がそれかよ…良かったわ お前と結婚しないで」
それを聞いたルインは怒りの表情で
ルイン・サン・ライアット「兄上 これは全て私の責任 セレーズには何の落ち度もない 妻に対する侮辱は例え兄上でも許せる物では…」
カイゼルの内心「この程度の煽りに乗るとかルインは政治家としては優れていても策士としてはユリウスには及ばないな」
カイゼル・サン・ライアット「今日は此処まで来るのに疲れたから俺は寝るわ 寝室まで案内してくれ 昔と城の内部が違うから何処に何があるやら良く分からん」
近くにいたミリア・サン・ライアットがそれを聞いて
ミリア・サン・ライアット「叔父上様 私が寝室まで案内致します」
ミリアに連れられてカイゼルは寝室まで向かう
ユリウスは去るカイゼルを横目で見ながら
ユリウスの内心「カイゼル・サン・ライアット…40年間不在な理由は知ったが もしこの男が皇帝位を継いでいたならタリア共和国はとうに存在しなかったろうな」
ユリウス・マクシミアン「それはそうとセレーズ王妃様に送り物が御座います この宝石を散りばめた黄金のティアラは我が国一の細工職人が作り上げた天下に名だたる品 三国同盟を記念してどうかお受け取り下さい 12万のタリア共和国民の血で作られた名品で御座います」
セレーズは生気を失った顔で手を震わせながら受け取る
セレーズの内心「・・・・こんな血塗られたティアラ 私はいらない…いらないわ」
レオン・サン・ライアット「これは流石にやり過ぎたな ユリウスよ お前は同盟を結びに来たのか それとも喧嘩を売りに来たのか 二週間後には三国同盟を祝うセレモニーがある 少しは控える事だな」




