第20話『すれ違う兄妹』
タリア共和国 《シャンデル城内》
ギルバート・クルス「全くよ…マイクルの野郎はクソみたいな奴だったが剣の腕は確かだった それが剣も抜かない相手に簡単に殺られるなんてな…」
タリア共和国第四軍団の兵士がマイクル・フレイトの遺体を持って戻って来た
ユリウス・マクシミアン「ダーナの娼館でのトラブルらしいが兵が言うには戦った相手の名前はケニヒス・ティガードと言うらしい…その名前はお伽話で良く聞いた名前だ」
ギルバート・クルス「700年以上前…『雷帝』アーリバル・サン・ライアットと3日以上闘って決着がつかなかったっていう『虎の王』の名前だな…」
ユリウス・マクシミアン「ダーナ神王国には完全なクローン再生技術がある…あの国の王ラーヴァナは恐らく人間ではないね その正体はギア・オリジン統括者波旬だろう このタリアに三体のギア・オリジンの送り込んだのはあの魔王だ」
ユリウス・マクシミアン「八岐殿は信用出来る方だったがあの禍津殿と武獣殿はなぁ…」
そのとき外から凄まじい轟音が鳴り響く
フェルセット・オリン「大変です 風と焔のギア・オリジンが将軍と話がしたいと…」
須流徒「那由多 俺はあの二人に用がある 話し合いは任せた」
那由多「戦う気なら離れた場所でやってくれ」
ユリウスが城を出て那由多の前に現れた
ユリウス・マクシミアン「風のギア・オリジン那由多樣が一体私に何の御用ですか?」
那由多の内心「この男全く動じんか…大した胆力だ」
那由多「君に頼みたい事がある この国には強力なステルス機能を持つ飛行戦艦があるな それでティガルドの森まで行って運んで欲しい『物』がある 我々で運ぶには時間が掛かる上に『奴』に悟られる」
ユリウス・マクシミアン「随分と都合の良い話ですが我々に何かメリットは?」
那由多「サン・ライアット帝国と和解して同盟が結べるとしたら?」
ユリウス・マクシミアン「・・・しかし私は八岐殿に奇襲を行わせた者ですよ そんな上手い話が…」
那由多「数千年色々な戦を傍観して来たが昨日の敵が今日の友になる国はいくらでも見てきた まあ…また裏切りに走った国もあったけどね」
ユリウス・マクシミアン「何故和解出来ると言えるんですか?…サン・ライアットとは二度に渡る戦でどれだけタリア兵が死んだと…」
那由多「はっきり言おう 何れこのタリアも滅ぶぞ ダーナの王は世界の統一と言う遊びをやっている 君なら正体に気付いてるだろう?」
ユリウス・マクシミアン「ギア・オリジン統括者波旬ですね…それでその『品物』は何処に運べば良いんですか?」
那由多「バーハ小国に運んで貰いたい 受け取り人はサン・ライアット帝国先帝レオン・サン・ライアットだ」
ユリウス「成る程…分かりました では『オルトロス』を用意させます 私も搭乗して一度レオン樣と話をさせて下さい」
城から離れた《周辺地帯》
須流徒「禍津…お前は相変わらずだな 幼い頃は素直で優しい妹だったが…」
禍津「兄さん 何故此処に…まさか私を殺すの…」
武獣が禍津を守る様に立ちはだかる
須流徒「武獣 お前そんなに禍津が大事か…人間だった頃に一度優しくされた程度で惚れたのか?この女は単に利用価値があるから優しくしてやっただけだぞ 他人を利用して自分の手を汚さない、そんな奴だとお前も気付いているだろう?」
武獣「分かってるさ…でもあの11人の中で殺人鬼だった俺に唯一優しくしてくれたのは禍津だけだった それが偽りだと分かっていてもな」
須流徒「お前達二人は波旬の所に戻れ この国の守りは俺がやる 何れお前達と戦う時が来るかも知れん…その時はけして容赦はせんぞ!」




