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【25:30】プロローグ・僕の話

一次創作ははじめて。どきどき


僕の話。


多田野 雅人(ただの まさと)。32歳男性。通信業界で施工管理の仕事をしている、冴えないサラリーマン。仕事は可もなく不可もなく。上司に叱られることもなければ、部下に頼られることもない。


何か秀でた才能もなく、学生時代の甘い思い出もない。容姿もまぁ、普通の域だと思う。蔑まれもしなければ、褒められることもない。いわゆる()()


中流家庭で生まれ育ち、口煩い母親と関心のない父親。少し当たりのキツい姉。去年までは結婚について煩く言われたが、姉が子どもを産んでからはそれもなくなった。


趣味は読書に映画鑑賞と、これまたありきたり。なにか情報を摂取していないと頭が落ち着かない。SNS中毒の若者とそう大差なかった。


ないない尽くしの何もない人生。このまま死んでいくのかと不安になる日もある。生涯未婚率やそれに伴う自殺率を見ては、あぁ仲間がたくさんいるなと思って安心さえする。



ロボットのように日常業務を行い、同僚とネットニュースを見ながら会話。昼は職場の近くで蕎麦を食べ、1時間だけ残業をして帰路につく。


今日は木曜だから明日行ったら休みだと、怠い体に鞭を打つ。年々重くなっていく体に、少し弛んできたお腹。筋トレでもしたほうが良いのだろうけど、どうせ続かない。


通勤ラッシュから少しずれた電車内。自分と同じように吊るしのスーツを着た、草臥れた男たち。キラキラした若い女の子たちに隣に座ってもらえない生き物。


イヤホンで流行りの音楽を流す。少しでも取り残されないように。いいメロディだとは思うが、歌詞がどうも響かない。ターゲット層でないのだから当たり前だ。


電車を降り、学生時代に聞いていた曲を流す。あの頃胸を打った歌詞も、今となっては薄っぺらい。僕の曲はないだろうか。僕の小説は、僕の映画は?


僕の何かを埋めてくれるような、何かはないだろうか。


ある日突然、人生は変わらない。全ては今までしてきたことの延長線上。


何かを変えることが出来る人は、何かをしている。僕は宝くじを買うことさえしない。何もない人間。


コンビニに入り夕飯を買う。買ってから、昼にも同じものを食べたと思い出す。別にいいが、疲れているんだろうか。今日は適当にYouTubeでも見て、早めに寝よう。


駅から15分の、僕の城へ向かって歩く。革靴がくたびれてきたなと思い、俯いていることに気づいた。顔だけでも前を向いて、シャンとして歩こう。空を見上げたっていい。


視線を上げて、目の前の光景に固まったのは、平凡な僕にとっては必然だったと言える。



キラキラとした女の子。ピンク色のツインテール。よく分からないフリルまみれの動きにくそうな服を着て、謎のステッキを持って突っ立っている後ろ姿。


彼女の前には、うぞうぞと蠢く肉の塊。クトゥルフに出てきそうな、未知の生命体。


疲れてるんだ。少女が振り返る。


「うわぁ。おじさん、本能とか死んでるタイプ?」


やっぱり疲れてる。




完結までがんばる

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