ねぇ あなた
六話 髪を染めます
すこし根元が白くなってきたので
そろそろ髪を染めてもらいます
あなたが綺麗でいてねって言ったから
今でもちゃんとヘアカラーを綺麗にしている
12年が経ち もうすぐ13回忌
まだそれだけしか経っていない
まだそこにあなたがいるようです
娘も結婚して赤ちゃんを授かり
その孫たちはもうやんちゃ盛り
あなたは満面の笑みをうかべ
抱っこするのが想像できます
あなた そこから見えますか
もうおじいちゃんになったのです
わたしにはいつまでも
あなたはあなた
あの時のまま
真面目なあなたは先に旅立つことになった
なぜなのと何度言ったことか
あなたらしいといえばあなたらしい
だけど残された私のことは…
唯一の不器用なこと
自分のことよりひとのこと
あなたらしいといえばそのまま
あなたを返して欲しいと言わない
あなたがしたことが特別になるから
特別じゃなくふつうのことだったから
毎年の花は丁寧にお断りしています
それでもいつもこの時期に
あの場所で咲いていますね
ふつうのことだし
思い出の場所にしたくないのにね
すこし根元が白くなってきたので
そろそろ髪を染めてもらいます
あなたが綺麗でいてねって言ったから
今でもちゃんとヘアカラーを綺麗にしている
それでもね、やっぱり涙がでるの
この時期になるとよけいに涙がでるの
もうすぐ13回忌あなたが
また帰ってくる
年に一度のデートが出来ます
わたしにはいつまでも
あなたはあなた
ねぇ あなた…あの時のまま
そばにいてね
すこし根元が白くなってきたので
そろそろ髪を染めてもらいます
あなたが綺麗でいてねって言ったから
今でもちゃんとヘアカラーを綺麗にしている
ねぇ あなた…少し明るい色にしようかしら
ねぇ あなた…
つむぐいと
では詩をメインに投稿してます
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