さよなら
十三話 雪にかわらないまえに
目覚めた朝にはもうあなたはいなかった
窓からの朝陽をひとり浴びていた
それでも未練がましく家を出て
すがり走って追いかけているわたし
駅に着いてあなたを見つけたとき
何かをわたしに言ってたよね
いつもとは違う向かいのホームからの
言葉が通過する音でかき消され聞こえない
わたしには届かない
ただ何を言ってるのかはきっと
こころは感じていたけど
わからないふりをしていた
それはあなたの優しさだったの
ベッドで言わなかったことが優しさだったの?
それの方が辛いことだと思わなかったの
いつもあなたに合わしていたけど
最後だけはそれは残酷なことだと
涙が出て止まらない
悲しくて言葉もでない
離れた駅のホームだとそれすら
感じることも聞き取ることも叶わない
離れていて涙が見えないのがあなたへの
強がりだったのかしら
いつもふたりはそばで一緒だったのに
今はあなたとわたしは離れた
駅のホームに立ってる
いつの間にか降り出した雨が
何もかも流していく
思い出も悪戯なキスも消されて
これからのそれぞれの道を占っている
わたしには聞こえない
それはあなたの優しさだったの
近くで言わないことがやさしさだったの
ただ何を伝えたいのかは
わたしのこころに届いてるけど
わからないふりをしている
もう「さよなら」なんだと
聞こえないところで伝えるのは
それがあなたの優しさだったの
離れた駅のホームに雨が降る
あなたとわたしの間に降り注ぐ
雨が雪にかわらないまえに
新しい道を歩きださなければと
あなたの言葉が優しさと信じて
歩いていくわね
雨が雪にかわらないまえに
家に帰るわ、わたしの家に
あなたの姿を見送らず
「さよなら」をありがとう
雨が雪にかわらないまえに
わたしもさよならする…
つむぐいと
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