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上様と菊之助様 《宴》

暑気払いの宴での上様の様子を追加しました。

 暑気払いの宴の席にて上様は一段高い位置で、お里を見ていた。どんなところにいても、お里を見つけることができると、自分で自分に感心していた。もちろん、目が合う位置ではない。いわば、広い庭の端と端だ。


 そのとき、一人の男がお里に近付いて何か話しかけている。上様は、その光景から目が離せなくなった。


 二人とも笑顔で何を話しているんだ。上様は気が気でなかった。隣にいる御台所が何か話しかけてきたが、何を言ったかはわからず、適当に返事を返した。


 そのとき、男がお里の手を取った。(なにっ!)上様は一瞬で、顔色が変わった。


 後ろからその様子を見ていた菊之助が


 「上様!なりませぬぞ」 と小声でいった。


 「わかっておる! しかし菊之助、あいつ手を取ったぞ。お里から手を差し伸べたのではないか?」


 「上様、よく見てください。甘酒を渡されただけでございます」


 「・・・・」


 「いったい、あいつは誰なんだ。お里をたぶらかしておるのか」


 「そうと決まったわけではございません。お顔をお戻しください・・・」


 「お里も、あんなやつに笑顔で話す必要はないのに・・・おぎんに様子を探らせるか」


 「上様、いいかげんにしてください。ほら、もうそれぞれのお仕事に戻られるようですよ」


 「ああ・・・」


 とりあえず元に戻られたが、上様は、扇子をすごい勢いで開け閉めされている。そうとう、機嫌が悪そうだなあ・・・と菊之助は思っていた。


 今日は、お里殿と会うことは出来ないから、一日この調子だろう・・・とうんざりされていた。


 どう見ても、お互いにただの社交辞令で会話をしていただけだけど・・・明日、また子供のようにお里殿に問い詰めたりされなければいいのだが・・・と願う菊之助だった。


読んでくださり、ありがとうございます。

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