────終焉、幕間、戯曲、死────
明の言葉の後、俺は暗い世界に落下して行く。それは不快ではなく、快楽をもたらしてくれるように感じた。
気持ちいい、落ちていく、墜ちていく、堕ちていく。明のことしか考えられない。これは恋か。笑わせる。……不思議だ。笑えない。身体に自由がない。
何かの異物が身体の中を満たしている。
どうしてこうなった。思い出せ。思い出を理解しろ。
そう俺は事故に遭ったんじゃなかったか?
たしか車に引かれた。最後の印象は黒いタイヤ。顔面を引いていった────黒い黒いタイヤ。
あの円は高速で回転するとまるで──黒い穴──みたい。
穴、夢、俺は生きている?
曖昧だ。明はどこだろう。いるわけがないか。これこそ現実……。いや未だ夢のような気がしている。何故だ。
あぁ自分で自分の身体を見下ろしているからか。隣に寝ているのは誰だ。……明に見える。
そっか、明と俺はきっとこんな出会いで義理の兄妹になったのか。
ずっと一緒だこれなら。
なんでかって、俺の脳は死んで身体は生きている。明の身体は不自由で臓器移植を待っている。
答えは簡単だな。俺の身体と明の身体が一つになって明が生き延びるんだ。
そうか、あれは最後の俺の願望を明が叶えてくれたんだな。ありがとうの気持ちを込めてさ。
ちっぽけな俺の命でも意味は存在していたんだな。だって明を救えたんだからさ。




