────穴が在った────
何だろうかと考えるが、俺の知識では分からなかった。
ただ印象だけを述べるなら、俺という人間が百存在しても余りある大きさということ。
何故、こんな底の見えない穴の縁に突っ立っているのか?
そんなこと俺の夢だからだろう。だってそうじゃないか、それ以外に理由を付けようがないんだからさ。
「さみぃなぁ」
全く持って口から出た言葉の通りだ。部屋着のTシャツに半ズボンなのだ。風が吹けば肌を突き刺すような感覚が身を苛む。
「ここは、何? 北極? あるいは南極か? 確かどっちだったかに穴が在るって聞いたこと在るけど……」
そんな俺の言葉を返す人間は周りに存在していないようだ。まぁ当然か。
「……穴ね。落ちたら死ぬかな? 底が見えなきゃ、まぁ死ぬだろう」
死について考えてみることにする。
生命活動の停止、感情が無くなり、痛みを忘れ、何も考えることが出来なくなる。
「まぁ、楽で良いのかもな……。もっとも、死んだらそんなことも考えられないだろうから、この答えは間違っているのかもしれねぇな」
さて、こんな夢早く終わらねぇかなぁ。面白くないし、別に死にたがりじゃないしさ。どっちかって言うと生きてる方が楽しいじゃん? そう思わないか?
って俺の考えを誰に述べてんだろうな、ばかばかしい。
「……ん、何だ? 今、穴から何か聞こえた気がする」
気は進まないが、興味を引かれたんで首を出して穴の奥を覗いてみた。
やべぇって、はんぱねぇよ、怖すぎる。暗い、何にも見えない。死んじゃうぜ。
心なしか穴に向かって身体が知らんうちに動いている気が……。
「そんなバナナ……って、あれ? 冗談だよねマイケルジョーダン? 古いって? いやいやいや。ちょっと、ねぇ…………ぬぉおおお!」
簡潔に言うと、穴に落ちた。
冗談じゃなく、頭からこうスルっと。
「夢ですよね? じゃねぇと俺様デストロイなんですけどぉおおお!? ひゃっほおおお!」
少し頭のギアが意味不明にうPした模様。これはまずい。冷静さを取り戻していつものクールな俺様に戻らなけれ……。
「いや、無理だろぉおおお!」




