一番隊 隊長リョウ
王を隠密に警備中だった一番隊隊長のリョウに魔法石を使って伝達が入った
「シャオランです。トラブルが起きました。合流し報告しますので今からそちらに行きます」
「了解」
リョウは一言で返し、王の周りで怪しい奴は居ないか見張りを続けた
「隊長、ハンズ殿下の炎の魔法が暴走し宰相のご令嬢と貿易商の御子息、北側を占める領主の御子息を攻撃しました。ハリー副隊長にも協力して頂き大事には至りませんでしたが、このままでは殿下は危険です」
「素早い対応、よくやってくれた。後は俺が上に報告をあげるから持ち場に戻ってくれ」
「はい」
シャオランは軽く頭を下げ、リョウのそばから離れていった
リョウはシャオランが詳しく内容を言わなくても今の報告で内容を把握したのだろう
ガーデンパーティーが終わるとすぐに騎士団長と宰相そして国王に先程あった事を報告した
「はぁ…今の報告をまとめるとうちのバカ娘が殿下の悪口を言い、腹を立てた殿下は炎の加護が暴走し意思とは関係なく攻撃したと…」
宰相ジャン・アッカーは頭を抱えてしまった
娘の不敬に呆れてなのか、第一王子の未熟さに呆れてなのか…両方だろう
「だから俺は日頃から陛下には言ってたんです。3歳くらいから遊び程度の魔法をどの加護持ちも始め、そして慣れていくのだと。しかし陛下は危険だの何だのと言って訓練をさせて来なかった結果がこれだ!!」
騎士団長のレオン・ナイトレイは机をドンッと大きく叩いた
「レオン、不敬ですよ」
ジャンがレオンをなだめに入る。長年の付き合いと信頼関係からか国王はレオンの態度を咎めたりはせずにきちんと言葉を受け止めている様子で真剣な表情をしている
「明日から騎士団の中から家庭教師となる人材を送りますので、これ以上被害を出さないためにも訓練を始めましょう。ただアイリスのヒーリングアクアで僅かにしか回復しなかったと報告がありました。殿下の魔力の強さは侮れないため、上級の魔術師を教師に付けなければ教える方が大怪我しかねません」
リョウは熱くなるレオンとは対照的に冷静に意見を述べた
「一番隊の活躍のおかげで今回は大事にならずに済んだ。感謝する。明日からはハンズの訓練は騎士団長に一任する」
国王はリョウの意見に賛同し、疲れた顔で自室に戻られた
正しくは騎士団長に丸投げといったところだが。
「レオン団長、明日から俺が殿下の家庭教師をしようと思います。許可をお願いします」
「だめだ!お前が鍛錬から抜けたら纏まるものも纏まらん!陛下は俺に一任と言ったんだ…はぁ、俺があのわがまま王子の面倒みるよ」
レオンの背中をジャンはポンポンと励ましの言葉がわりに軽く叩いた