3.加護の儀式
加護は 光 闇 炎 水 大地 空 です。
教会の前に着くと僅かだが魔力の痕跡を感じた
サッと騎士団長が王の前に立ち静かに教会の扉を開け、中を確認する
宰相は王子を抱いた王の後ろに立ち腰の剣に手を添えながら周りを見渡す
少し離れたところから護衛についていた一番隊の騎士達にも一瞬緊張が走る
静かで誰の気配もない…
「なっ…あれは」
先に教会に入った騎士団長が教会の中に何かを見つけた
加護の儀式用の祭壇…ではなく 最前列のベンチに生まれて間もないと思われる赤ん坊がいた
教会のステンドグラスから差し込む月の光が赤ん坊を照らしている
捨て子か?しかしこの教会は城壁の内側にあり簡単には入れない
「魔力の痕跡からも転移魔法だろうが…しかし城壁は魔法壁も施してあり易々と転移魔法で城壁内には入れない。上級以上の魔法を使える者の仕業……」
騎士団長が険しい表情で状況を分析する。赤ん坊を見ると額に光の加護の印が浮かび上がっている
赤ん坊はもぞもぞと動き腹が減ったのか自分の指を吸い始めた
『「なんと!」』
赤ん坊の右手の甲には炎の加護の印が浮かび上がっている
『加護の複合か!』
加護をひとつ以上持っている者は珍しい
王ですら炎の加護だけだ
騎士団長は赤ん坊の身寄りが分かるものがないか身につけていたお包みをとった
纏うものがなくなった赤ん坊をみてその場にいた全員が驚いた
!!!
加護はふたつだけでなく左手の甲に水の加護
右足に大地の加護、左足に空の加護の印があった
「闇以外の加護を受けるなんて…大聖女か!?」
宰相が驚きの声をあげるがすぐさま騎士団長の一言で緊張が走った
「これは他国から転移されてきた人間兵器では」
加護はその体に強い魔力を与える しかし器が魔力と比例しなければ暴走するのだ
『これが大聖女か人間兵器か、今は何もわからん。しかし大聖女であればここで殺すわけにもいかん…騎士団長か宰相かどちらかこれを育てろ』
王の突然の命令に宰相と騎士団長は一瞬固まっていた
………
王は何ごともなかったかのように王子を加護の祭壇に寝かせた
王が一歩祭壇から離れるとステンドグラスから入り込んでいた月の光が王子に集まってきた
王子の加護の儀式は無事に執り行われ、王子は王と同じ炎の加護を受けたのだった
宰相ルート
騎士団長ルート
どちらが先にくるでしょうか?