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九条 佳織は、今の日本においてごく普通の中学一年生だ。
その容姿は、美しいとか美人ではないがかわいらしいと言う言葉が良くあう見た目だ。身長は常に背の順で並ぶと一番前に常にいる。最近はなかなか身長が伸びていないことがコンプレックスになっている。
強いて人と違うところをあげるとしたら、三年前に母親がなくなってしまったことだった。父親はいないが特に不便だったことはない。母親がなくなった後は、親戚の家に今は住んでいる。愛情をもらったことはないがいやな目にあっているわけでもない上にお小遣いももらっているので文句などない。本人は忘れようとしているが、少し前にとっても痛い時期があって最近はそれを誤魔化すようにいろいろな本などを読んだりしている。
母親のなくなったときはとっても悲しかったががんばって今わ乗り越えている。
・・・・・しかし、時折夢に見ている。母親との思い出をよく
『髪はお母さんにそっくりだけど、顔とかはお父さんそっくりね』
と、言われたのをよく思い出す。父の話はあまりしてくれなかったのも良く覚えていた。
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今は、中学校での自然体験学習でキャンプに来ている。そして夜に皆が寝静まったころ、丁度 佳織は目が覚めた。
「う、う~んまだ暗い・・・・・・・あ!?あれ?ない。ない。どこにいっちゃたの?」
母親が持っていたネックレスを基本的に肌身離さずできる限り持っていたのだが、それがない。あわてる。そこで一つの紙が落ちているのが見えた。暗いが何とか読めた。そこには・・・
『お前の大事な物はあづかった。返して欲しかったら、一人で下に書いてあるところまで来い』
と書いてあり、下に簡単だが今いる辺りの地図が書いてあった。そこに指定している場所があった。
「い、急がなきゃ。」
静かにそれでいて急いでドアを開けてその場所まで行った。
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指定されていた場所に着くと、クラスの女子。それもあまり関わったことのない人たちがいた。何でこんなことをするのか心当たりがまったくない佳織は戸惑っていた。
「返して!」
佳織は叫ぶが相手はこちらをあざ笑ったような顔のまま言葉を発した。
「返して?返してくださいでしょ?あら、理由を聞きたそうなこしてるわねぇ。そうね、なぜかって言うとね・・・・・・・あなた、目障りなのよ。いつもいつも他のやつらのように私の言うことを聞いていればいいのに、聞かないだけじゃなく私のものまでとっていって、ほんと邪魔なのよ。だから、少し教えてあげようと思っただけよ」
そう言って佳織の母のネックレスを入れた袋をクルクル回しながら相変わらず佳織のほうを見ている。
「返して!それはお母さんの大事な物なの。」
佳織の言葉に今までかんじたことがない威圧のような物を感じた。
「なによ!だから生意気だって言ってるんでしょ!」
虚勢を張るがそれがすぐに恐怖の色に変わっていった。右のほうに熊が現れたのだ。動物とは普通人間を避けるのだろうがむしろこちらを今にも襲いそうな様子だった。
「「「キャアアアアアアアアアアアアア!!!」」」
袋を投げつつどこかへ逃げてしまった。その袋をあわてて受け止めた佳織は自分の置かれている状況はまったく盛ってよくないものだと分かっている。それでも一撃入れば熊でもひるんでどこかに行くことを分かっていたが自分とでは身体的差が大きすぎるが何もしないよりはと思いそこらへんに落ちていた木の棒を持って構えた。熊はゆっくりとこちらに近づいている。その時だった。
「そんな物ではあの獣は仕留めることはできませんよ」
黒髪の軍服のような物を着た好青年だと思える、男の姿が〝はっきり〟と佳織の目に見えた