あーちゃん、校長室で、へこむ
窓の外では生徒たちが花火をやっている。ロケット花火がヒューンと飛んでいき上空でパンとはじけ、女子生徒が手をたたいてはしゃいでいる。
あずは無力感に襲われて重たい体を引きずるように職員室を出た。すぐそばに「校長室」というプレートが貼られた部屋があった。
そうだ、せっかく校長先生になったんだから、一度くらいこの部屋に入っておくか。
そんな気持ちで戸を開いた。しかし中にはお菓子の包み紙とペットボトルが落ちていて、やっぱりここも生徒たちに荒らされていた。
あずはげんなりして、黒い革のソファーにぐたーっと腰を下ろした。
みんなどうしちゃったんだろう。同じ顔をしていても、言うことやることがぜんぜんちがっている。この広い宇宙のどこかに地球と似ている星があって、その星の生物は地球人とそっくりだけど何かがちがう、そんなどこかの星に迷い込んでしまったみたいだ。
きれいはきたない、きたないはきれい――。
ふと、裏庭の猫ちゃんたちが言っていたセリフが脳裏をよぎった。なんだか今の状況に似ている気がする。きれいだったものがきたなくなって、きたないものがきれいと言われる。なんだろう、なんか胸騒ぎがする。
壁際にガラスの入った大きな書棚がある。そこには卒業アルバムが年代順に並べられていたが、何冊かは生徒たちがいたずらしたのだろう、床に投げ捨てられていたり、テーブルの上に読みかけのまま置かれていたりした。
あずはそこに貼られた一枚の写真に引かれるように、古い卒業アルバムを手に取った。これは、もしかすると……。




