ママがママじゃなくなっちゃう!
なんだかいいにおいがして、目が覚めた。なんだろう、このにおい。
あずは布団から起き出して、キッチンに行った。エプロンをつけたママが料理をしている。
「あら、あーちゃん起きたの? 早起きさんね、おはよう」
ママはにこやかにそう言った。
「ママ……、なにしてんの」
「うん? 朝ごはんよ、さあできた。すぐ食べる? その前にお顔洗ってらっしゃい」
ママはそう言ってタマゴ焼きをお皿に盛り付けている。あずは目をこすった。夢の続きかと思ったのだがそうではない。
「ママ」
「ん?」
「そんなことしなくていいのに」
「どうして?」
なんか、ママじゃないみたい、あずはそう思ったが口には出さずに、洗面所に行った。やっぱり何かがおかしくなっている。このままだとママは夕べ話していたように、会社を辞めてこの家に戻ってきて、パパと寄りを戻して専業主婦になってしまう。
そんなんじゃダメだ。たぶん、いやぜったいダメになる。
パパとママ、どっちも好きだけど、一緒に暮らしたいけど、でもやっぱりダメなんだ。パパとママは性格がちがいすぎる、それでうまくいっている夫婦もあるんだろうけど、パパとママの場合は、一緒にいると二人ともがダメになってしまうタイプだ。
ママにはこれまで通りバリバリのキャリアウーマンでいて欲しい。そういう生き方のママが一番かっこいい。子供より早く起きて朝ごはんを作るなんて、そんなやさしいお母さんみたいなこと、しなくっていい。あたしのことなんか、ほっといてほしい。
これってぜいたくな望みなのだろうか。
でも、こんなふうにママが変わってしまうのは、とってもいやだ。




