たいへん! 遅刻! 遅刻!
なんとなく目が覚めて時計を見ると、まだ朝の七時前だった。すっごい早起き。
ドンキチに起こされたわけでもなく、ひとりでに目が覚めてしまった。普段ならここでもう一度寝てしまうあずだけど、今朝はどうも様子がちがって目がさえてなぜか頭もすっきりしている。隣を見ると雪乃ちゃんが寝息を立てていてる。そのせいかなあ、そばに人がいるせいで落ち着かなくて、目が覚めちゃったのかなあ。
あずはふとんから先に起き出して、洗顔をすませて学校へ行く準備を進める。毎日こんなに早起きできれば遅刻もしないのになあ。
夕べ、おにぎりと焼きそばをもらっといてよかった。朝食を作らなくてすむ。あずは冷蔵庫から取り出したそれを電子レンジで温めて、食卓に並べた。
「ユキノン、もう起きる? ごはん食べようよ」
寝ている雪乃に声をかけたが、うーん、という寝ぼけた声が返ってきただけだった。先にドンキチが起きてきて、猫まんまを食べ始める。
ユキノンもあんがい、ねぼすけなんだな、でもこれは今日だけかな、だって一度も遅刻したことないって人だもん。でもそろそろ起きないと。
あずはとりあえず先におにぎりを食べ始めた。そのうちに雪乃も起きてくるだろうと思ったのだが、一向にその気配がない。朝、二度寝してのんびりするのが気持ちいいってのはわかるけど、遅刻はいけないよ。
あずの家に泊まった日に遅刻なんてされたら、お泊りを許してくれた雪乃ちゃんのお母さんにだって顔向けできないじゃない。
「ねえ、起きてよ、ユキノン」
あずは雪乃の肩を揺すってみる。ようやく雪乃は眠たげにまぶたを開けた。
「あーちゃん、早いのね」
「早くないよ、もう起きないと遅れるよ」
「今日は、行きたくない」
「え?」
「学校、休もうかな」
「そんなこと言わないでよ。冗談でしょ、ねえ、早く起きよう」
「あー、決めた、決めた。今日はお休み」
「本気なの? だってユキノン、これまで皆勤賞だし、学級委員だし、行かないとみんな困るよ」
「そんなこともういいの、あーちゃん、私の代わりに学級委員やって」
「そんな無茶な」
「できる、できるって。あーちゃんならできる。じゃ、まかせたから。おやすみ」
雪乃は頭から布団をかぶってしまった。それからはあずが叩こうが蹴ろうが、布団から出ようとはしない。
「もう、知らないから。あたし、先に行くよ」
ユキノン、どうしちゃったんだろう。まるであたしのぐうたらが、彼女に移ってしまったみたいだ。まさか一晩一緒にいたせいで、そんなことないよねえ。




