表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/265

17:欲しい物は、取りに行けばいいって話

更新おそくなってすみませんでした(´Д`)


 開拓が始まり半年くらいか経った。


「そろそろか……頃合いか」


 レイドックの冒険者パーティーを筆頭に、現在一〇〜二〇パーティーくらいが常駐するようになっていた。

 魔石の流通も順調だ。

 冒険者ギルドが規定料金で買い取り、それを契約通りの価格で生産ギルドへと販売。

 ゴールデンドーン村のプール金から、魔石代に当て、それを俺やリーファンが生産品へと加工する。


 現在、村の外に流れるポーションの量はかなり抑えている。

 噂では早速プレミアがついているらしい。

 基本的には村の住人か、村で活躍する冒険者に優先して配布か販売をしている。


 冒険者が様々な魔物の素材を仕入れてきてくれるおかげで、予定していた新アイテムも完成していた。


「リーファン。ちょっといいか?」

「うん。なにかな?」

「前から鉱石の調査と採取に行きたいって言ってたよな? そろそろ良い頃だと思うんだが」

「あー、そうだよね。鉄鉱石の値段も上がってるし……」

「この村に運び込む商人がごうつくばりばかりだからな」

「それはしょうが無いよ。開拓村まで来てくれる商人さん自体が少ないんだから」

「ま、その辺は近いうちに商業ギルド辺りを呼び出して相談すればいい」

「うん」

「それより、鉱石だ。鉄と銅だけでなく、可能ならミスリルやアダマンタイトを手に入れたい」

「そりゃ、欲しくない人はいないよ」

「それで、生産ギルドから預かっている、このあたりの資源分布図だ」

「うん」

「このなかで、ここ」


 テーブルに広げた地図の一点を指す。

 森を抜けた山脈の麓だ。

 それをみて、リーファンが眉を顰める。


「希少金属の可能性が一番高い場所だ」

「言うまでも無いと思うけど、どうしてその場所に人の手が入ってないか説明する?」

「まずこの魔物だらけの森を抜けなければならないこと。現地の地質が非常に硬く、採掘に時間が掛かると予想されること」

「うん。……あ、だから冒険者ギルドなんだね」

「そういう事だ。護衛に関しては、冒険者ギルドに依頼。村のプール金から依頼料を出せば良いだろう?」

「うん。大丈夫!」

「それで、鉱石の事だからな、リーファンには来て欲しい」

「もちろんだけど……もう一つの問題は……あ、そうか! ハードフォージングオイルとシャープネスオイル!!」

「そういう事だ。ツルハシは全てハードフォージングした鉄で作製してもらって。もちろんシャープネスもたっぷり塗っておけばどうだ?」

「うん! いけると思う!」

「それだけじゃなく、もう一つ用意した物もあるしな」

「……クラフト君? 隠し事は無しだよ?」

「ああ、分かってるんだが……まだテストしてなくてな。現地でテストがてらお披露目させてくれ」

「なんとなく嫌な予感がするよ」

「失敬な」


 錬金術でも、結構作るのが大変だったんだからな。


 ◆


「クラフト、指名依頼ありがとうな」

「今、常駐しているパーティーで一番優秀なのを選んだだけさ」

「依頼料は安いが、ヒールポーションとキュアポーション。それにシャープネスオイルを報酬に出すと言われたら、他にどんな依頼を放棄してでもやってくるさ」

「はは。今は固定依頼はほとんどせず、魔物討伐と魔石で儲けてるだろうが」

「バレバレか」

「当たり前だっつーの」


 拳と拳をぶつけ合う俺とレイドック。


「それで、護衛対象は?」

「俺とリーファン。それにジタローだ」


 何故か知らないが、やたら来たがったので一緒に行ってもらうことした。


「……山賊か?」

「言っちゃったよ」

「ええ!? 冒険者の兄さん、そりゃ無いですぜ!」

「ごめんジタローさん。わざとだと思ってたんだけど」

「えええ!?」


 自覚なかったんかよ!


「はは、冗談だ。村の訓練施設で弓を使ってるのを見かけたことがある。あんたなら大丈夫だろ」

「びっくりさせないでくだせいよ。俺の一張羅なんすから」

「簡単に自己紹介しておこう。俺はレイドック。パーティーのリーダーをやっている。剣士の紋章持ちだ。それであの目つきの悪い女が——」

「死にたいのかしら? リーダー?」

「と、このようにとてもきつい女だ。レンジャーの紋章持ちでソラルだ」

「よろしく」

「久しぶりだなソラル。村で時々顔は見ていたが」

「忙しくて話す機会はあまりなかったものね。会えて嬉しいわ」

「お前なら頼りになる。頼んだぜ」

「ええ」


 昔パーティーを組んでいたソラルだ。

 実は少し惚れていた時期があったが、ソラルがレイドックを好きなのは見てわかっていたので、秘めた片思いで終わった。


「そっちのひょろいやつが神官の紋章持ちでベップ」

「お久しぶりです、クラフトさん」

「ああ、元気そうで何よりだ」


 白っぽい神官系の防具を身に纏った、少し痩せた男が頭を下げる。

 ベップもパーティーで一緒だったメンバーだ。

 貴重な神官の紋章持ちだが、家庭の事情で冒険者になった変わり者だ。性格は神官らしく慈悲深い。


「そんでそっちの色黒が魔術師のバーダック。紋章は無いが、それなりの使い手だ。うちのブレインでもある」

「よろしく頼む」

「ああ」


 こいつは俺がパーティーを出て行ってからのメンバーだろう。初見だった。色黒で細身だがしっかりとした肉付きだ。

 紋章が無いのに魔法を使えるのか。

 一体どれだけの苦労があったか想像も出来んな。

 もっとも、相性が悪い紋章を刻まれているよりかは、魔法の習得は楽だと思うが。


「そんで、奥のでかい奴が戦士のモーダ。紋章は無いが筋力が人並み外れてるから、なかなかの実力だぞ。物静かな奴であんまり喋らないのが欠点っちゃー欠点か」

「……」

「お、おうよろしく」


 無言で握手を求めれたので、ごっつい手を握り返した。

 なるほど。紋章無しだとあまり技には期待できないが、純粋に筋肉で押し切るパワーファイターなのだろう。

 こいつも初見だった。


「荷物があったら遠慮なく言ってくれ。いくらでも空間収納出来るからな」

「本当に、変わったんだなクラフト」

「ああ。紋章が刻まれただけで安心しちゃいけないって事だな」

「俺も今度相性を見てもらうかね?」

「レイドックはばっちりだと思うぞ?」

「はは。俺もそう思う。さて、そろそろ行こうか。道案内は……」

「私がやるよ!」

「リーファンさんよろしく頼む。よし! 出立だ!」

「「「おお!!!」」」


 こうして俺達は森に足を踏み入れた。


 ◆


 深く、日当たりの悪い森の中を進んでいく俺達。

 途中、ゴブリンやオーク。ジャイアントスパイダーなんかとかち合うが、ことごとくレイドックのパーティーが処理していく。

 鮮やかな連携だった。


「魔石や素材は、慣例通り俺達がもらうが問題ないな?」

「うん。もちろんだよ」


 護衛の冒険者が倒した魔物の権利は冒険者の物だ。報酬の少ない彼らからそれを取り上げたら戦争になる。

 ただ、ごうつくばりの商人などが、権利を主張することが多々あるので、念のための確認だろう。

 この村の冒険者ギルドに買い取られた魔石を売ってもらえるので、魔石や素材はそれで十分だ。


「うーん。スタミナポーション飲み放題だから、滅茶苦茶楽だな」

「ええ。やっぱり技が撃ち放題になるのは最高よね」

「魔法も撃ち放題になれば、もっと援護出来るんだがな」


 魔術師のバーダックが零したのを聞いて、それならと小瓶を取り出す。


「なら、ベップとバーダックにはこれを渡しておこう」

「それは?」

「マナポーション。魔力薬って奴だな」

「なに!?」


 バーダックが驚くのは当たり前だ。

 マナポーションはかなり高額なのだ。


「流石に量は渡せないから、いざという時用だけどな」

「いいのか? もらっても」

「ああ。その分活躍してくれ」

「約束する」


 神官と魔術師は魔力が生命線だ。いざという時用に渡しておいても良いだろう。

 作製に魔石を大量に必要とするので、あまり量が作れないので、市場に出していない。

 もっとも品質は相変わらず”伝説”なので、効果は折り紙付きだ。


「これがあればサイクロプス級の魔物が出ても倒せそうだ」


 変なフラグ立てるのやめてくれる?



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ