35:上位
「じゃあな」
旅立ちの日。友との別れに涙せずに居られない……………訳もなく、別れを告げて旅に出る。
もともと、旅をする人が多いこの世界の中でも、最も旅に出る回数の多い職業が、冒険者なのだ。少しぐらい別れるなら、そんなに寂しい物ではない。
『同じ世界に居るなら、また会える』
そう言った、召喚者もいたらしい。
そんな訳で、俺もアーク達も、いつも通りだ。
「ああ、次会う時までに、お前の隣に立てるぐらいは強くなっておく。覚悟しておけよ」
「私たちも、カケルの勇者としての仕事、手伝うからね」
「わざわざ強くなると宣言しなくても………」
やはり苦労人の資質があるな、アルは。
シュラインは無言で手を上げている。別れの合図、なんだろうな。
そのまま四人の前を辞して、歩き始める。目指すは魔導都市ケイラン。そこにはどんな出会いが待ち構えているのか、とモンスターマスターを目指す少年のような事を考えながら、少しだけ考えながら歩き続ける。
別に寂しい訳じゃないからな?
勘違いしてるかもしれないから、一応言っておこう。
※※※※※※
「どうすんだよ、コレ」
ハア、と溜息を漏らしながら、腕の中で泣き続ける幼龍を見る。多分、スカイワイバーンの子供だろう。
ちなみに、龍と竜の違いは、その種族が上位か下位かによって決まる。途中から上位へと進化を果たすものもいる。
その場合には、力で劣っている下位のまま上位の魔物を倒す必要があるが。
「って何を現実逃避してんだよ、俺は」
そもそもなぜこうなったのか、それは俺が爆音を聞きつけたのが、原因だった。
※※※※※※
「なんの音だ?」
『あ?』
「いや、今ドンって…あ、まただ」
『確かにな。どうする?行ってみるか?』
「君子危うきに近寄らずって言うが、行ってみようか」
危うきに近寄らず。要するに、冒険するなと言ってるのだ。冒険者には無視する権利がある。
途中で爆音もやみ、その場所へ、俺がたどり着いた時に見たのは、倒れ伏すドラゴンと巨大な狼だった。
「ワイバーンとエンシェントウルフだと?」
なんでこんな所に、と思うが考えても仕方ない。
両方死んでるよな?じゃないと、俺が危ない。
『死んで』
ナアッ
「『えっ?』」




