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【連載中止】魔族が悪というのは偏見です。  作者: 天野 星屑
魔界    
29/35

29:怪物

 「遅えよ」




怪物が振るう腕を、ぎりぎりの距離で避けながら、カウンターを入れる。買ったばかりの戦斧だが、出番を待っていてくれ。こういう相手には、メリアリオを使わないと少し困る。よしんば楽勝だったとしても、メリアリオ以外は使う気にならない。油断はほんとに危ない。







「それにしても、タフだな」



怪物“乱魔鬼フェンバレン”。確か、先代の魔王が一度滅ぼした筈だが、何故か蘇っちまったようだ。






 そもそも、怪物とは何か。それは、純粋にその生い立ちと知性によって魔物と区別されている。





魔物は、当然の事ながら、親から産まれる。一方で怪物はというと、魔力から生まれる。何らかの原因で、魔力が集中して一体の生物になり、実体を持つのだ。






 魔力で出来ている。それはつまり、魔力が尽きぬ限り、滅びないという事だ。滅ぼしたければ、ひたすら倒し続けるしかない。そして、その生い立ち故か、生命を持つ者を、破壊しに来る。魔物は根こそぎやられるだろうな。もう半分ぐらいは、従えられてるみたいだし。先代の魔王はどうやって倒したっつたかな?






 確か、何かの魔法を使ったらしいんだが。





忘れた。どうせ俺には真似できないし。






「あいつを止めろ!」





破られた壁から、兵士が戻ってくる。斬撃は……効いてるな。けどさ、復活早くないかい?そんな速度じゃ、切ってるほうがアホらしいだろ。やはり、傷の大きさによって回復に掛かる時間は変わるようだ。一秒が四秒に変わったところで、という話だが。







『いけ、カケル!』






「はいはい」





動きは素早いがそのガタイにしては、という程度だ。避けれない訳じゃない。







「メリアリオ!代償の追加だ。あいつの血を吸わせてやる!だからもう一個の方も貸せ」







『あいつに血が流れてる可能性は?』






「ある!」





『可能性の話をしてて、ある、とか言われてもな。分かった。“切断者”を解放する』






 俺の第二の能力“切断者”。その真価はどんなものでも切れることだ。







そう、例えその本質が実体を持っていなくても。

というか、この程度のことなら、メリアリオの力がなくても、エルダラムさんとかなら平気で出来るんだが。俺も未熟かな?






「さ?て。終わらせるとしましょうか」

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