28:襲撃
俺達が、美味しく朝飯を食おうとしていたら、大きな鐘の音が響いた。
「っ!?うるせーな」
「まさか……!」
そう言って立ち上がる四人。
「おい、この鐘の音はなんだ?」
そう言いながら俺も立ち上がる。
「こいつは魔物が襲撃してきた時に鳴らされる鐘だ」
「てことは………」
「ああ、魔物が来ている」
心無しか村の外周のほうが騒がしい。
「ですよね~」
俺達も戦列に加わらないといけない。そもそも、この世界の冒険者は、こういう時に戦うことを義務付けられている。だからこその特別待遇もあるのだが。
「人員かき集めろ!」
「戦えるやつは、門の前に集合しろ!それ以外は街の避難所にこもってろ!」
「冒険者は各自出撃しろ!突出し過ぎるな!」
俺達がたどり着いた時には、迎撃体制が整っていた。流石は魔族。戦いなれしてるな。
俺達が参戦するまでもなく、殲滅できるだろうと思っていた。
魔物がこれだけだと勘違いをしていた。俺達が村の防衛に徹していると、村の反対側から悲鳴が聞こえてくる。
「アーク!」
「何だ」
俺の呼びかけに、魔物を切り捨てながら答える。
「ちょっと向こう側行ってくる」
「………分かった」
その答えを聞く前から俺は走り出していた。さっきから、ずっとメリアリオの声が響いている。戦闘中は戦闘を支援してくれるはずなのだが。
その声が走れと言っている。走るしかないだろう。
「魔物多数!持ちこたえれません!」
「門は死守しろ!」
「こいつ、何っ!?」
ようやく、反対の門にたどり着いた時に、門の隣のかべが弾け飛んだ。
「まじかよ…!」
慌てて破片を避けつつ、門の上から落ちてきた兵士を受け止める。
「おいっ、何があった!」
その兵士が無言で指差す先には、“災厄”がいた。
腕から兵士を優しく降ろしながら(野郎なら放り出していた)魔物に相対する。
「力を貸せ、メリアリオ」
『代償は?』
「血で十分だろ」
『ああ』
体から血が抜けていくのが分かる。初めてのこの状態だ。どうなることか。
「いっけっ!」




