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【連載中止】魔族が悪というのは偏見です。  作者: 天野 星屑
魔界    
27/35

27:前触れ

「悪い、待たせたな」





「そんなことはない。久しぶりに武器屋に来たが結構楽しかったさ」





俺が謝ると、そう言ってくれるアーク。良いやつだな。




「じゃあ行くわよ、皆」





「う~い」


シュラインは面倒くさそうだな。好奇心を発揮するときはめっちゃ前のめりなのに、仕事となると面倒くさい、だ。






じゃあ俺も、この武器の性能を試してやるとするか。





     ※※※※※※




「先代、ね。先代とはいえ、彼の因子は非常に特異。あの爺さんは教えなかったし、どこで気付くかな?」






大きな玉座の上で、小さな少女が笑っている。






「早く早く、もっと高みまで上ってよ」





う~ん、と言いながら首を傾げる少女。



「どうしよっかなあ」




その少女を、彼女を知る者ならばこう呼ぶ。


“魔神”と。







「きめた」




「ぼくが手を貸してやろうじゃないか」


※※※※※※




「何かおかしくないか?」




「何がだ?」




「何っつわれても……」








なんかこう、嫌な雰囲気があるだけだ。何と言われても困るのだが。







「ふむ、じゃあ今日はここまでにしようか」






「わりいな」



そう言って引き上げる用意をする。幸いにも、その後は特に何も起きなかった。




あの時、実はメリアリオに言われたのだ。


『やばいぞ』、と。




メリアリオは何がヤバイか教えてくれ無かったし、とりあえず、逃げておくことにした。





 そして




メリアリオの勘は





最悪に近い形でその姿を現した。





後に言う“魔物の逆襲”である。





そしてこの時から、『無銘の英雄』と呼ばれる、一人の男の物語が始まる。




     ※※※※※※




魔国記録全書『災害』




・『乱魔鬼フェンバレンの復活とそれによる周囲の魔物の覚醒』


一度は、魔王によって討伐された乱魔鬼フェンバレンが、再び姿を現し、周囲の魔物をも巻き込んで『生命暴走ランバート』を起こした事件。本来なら、魔物による被害であるが、そのあまりの被害の大きさから災害として認定された。







『魔物と人類のはてなき争い』“フリュー・シャンカ著”より抜粋






 その日何事もなく始まった一日は、悲鳴と嘆きに彩られ終わった。家屋は潰され、街は崩壊した。しかし、一人の死者も出ることは無かった。後に“無銘の英雄”と呼ばれる男が、そこにいたのだ。誰も名を知らぬ彼の英雄譚はこの事件から始まった。

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