26:新武器
「言われなくても分かってます。ただ、まあ戦うのは向こうの判断次第ですね。自分から和解に行くとかダルいので」
店主の話を聞いたうえで、俺がそう言うと、安堵したような、呆れたような顔をされた。
「お前、先代の勇者と違うな」
「何故です?俺も先代も、魔族を守ることしか考えて無いでしょう?」
「その守り方が違うんだよ。先代は世界が平和になれば、魔族も平和になる、と言っていた。だがお前は完全に逆だな。力で守る。それがお前の道だ。お前の道がどうなるか、今は見守っておこう」
「ありがたい」
そう言って席を立って、出ていこうとすると、店主に再び呼び止められた。
「お前、わしがやると言った武器はどうした」
「あっ」
「お前、なんか抜けとるの。ちょっと心配じゃな」
完全に失念していた。誰にだって失敗はあるもんな!
それにしても武器、か。どんなのだろうか。
「付いてこい」
そう言った店主に連れて行かれたのは、店の奥にある倉庫らしい。
「ふむ、お前の武器は戦斧じゃの?」
「はい」
俺が答えると、雑多に置かれた素材をまたぎながら、壁にかかる武器をとってきた。
「これが最高の戦斧だ。勇者につかってもらえればこの武器も嫌じゃなおだろ」
「名は?」
「黒鉄鉱と魔法銀で出来てる。『黒丸」だ」
手に取ると慣れ親しんだ感じがする。いい武器になりそうだ。
『俺が最高だ!』
はいはい、お前はただの武器じゃないよ。俺の相棒だ。命を預けれる。
そして改めて、店を後にした。




